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親の介護を任せられ、婚期もキャリアも逃していく、増加する「介護独身」の苦悩とは?

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高齢者社会とは、介護需要増大社会でもある。
 5月8日、民間の日本創成会議(座長・増田寛也元総務相)が、若年女性の流出により「2040年には全国の市区町村の半数が消滅する可能性がある」とするリポートを発表した。一方、政府は6月24日に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針」、いわゆる「骨太の方針」で「50年後も1億人程度の安定した人口構造を保持する国を目指していく」とした。政府内でも人口減に対する危機意識が急速に強まっているが、深刻な人口問題に対しての具体策はこれから練られることになる。

 そんな人口急減と合わせて深刻なのは、超高齢化だ。4人に1人が65歳以上となった超高齢社会では、社会保障費は膨張の一途をたどる。厚生労働省は6月、年金の給付水準を30年後に2割ほど削減する必要があるとの試算を明らかにした。一方、6月から有識者や関係者を集めた介護・福祉分野の人材獲得のための検討会をスタート。介護は誰にでもできる仕事ではないにもかかわらず、「キツイ」「給料が安い」「離職率が高い」などのイメージは根強い。財源だけでなく、担い手不足の問題も待ったなしの状況なのだ。

 現在、日本の介護職員の数は149万人。厚生労働省の調べでは、団塊の世代が一斉に75歳以上となる2025年には、さらに1.5倍以上必要だと推計されている。超高齢化社会=総介護時代の到来は、介護を行う主体が子でなく、孫というケースも不思議ではない状況となるかもしれない。

●生活設計の破綻、親の年金が生活の糧

 人口減・高齢化の歯止めとなる出生率を上げるには、婚姻率アップは不可欠だ。しかし未婚率は、1970年以降、年々上昇してきている。25~29歳については、男性が71.8%、女性が60.3%(2010年)で5年前から横這い状態だが、50歳での未婚率(生涯未婚率)は、ここ5年で男女とも上昇している。つまり、初婚の年齢が高くなるのと同時に、「結婚しない」人たちも増えてきているのだ。また、2005年の全世帯数のうち、夫婦と子どもからなる世帯(標準世帯)は29.9%、単身世帯は29.5%と、ほぼ同じ割合だが、生涯未婚率が上昇しているから、このままでは、近いうちに単身世帯が標準世帯を逆転することが予想できる。

 こうした中、急激に増えているのは「介護独身」とでも呼ぶしかない人々だ。非婚・少子化と超高齢化が同時に進む中で、身内の中の「独身者」に介護のお鉢が回ってくる。他に家庭を持つ兄弟はあてにならず、介護も一人で抱え込んでしまう彼ら――。

 独身者が親を介護するという現実を追ったルポタージュ『ルポ 介護独身』(山村基毅/新潮新書)が注目されている。孤立と無理解の中でもがく日々を、自身も親の介護を経験した著者が、複数の男女へのインタビューをもとにして綴っている。

 そこには、バリバリ働いていたはずなのに、介護で自分の人生設計をあきらめなければならなくなった人や、貯金が尽きて親の年金を生活の糧にせざるを得なくなった人もいる。登場する介護独身者には、頼れるはずの兄弟姉妹がいるのだが、なぜか独身の彼らが介護を一手に引き受けることになっていく。親の死後も、彼らがかつてのキャリアに復帰することは難しい。著者の山村氏は、次のようにアドバイスする。

「独り身の場合、介護や治療のスケジュール・方針を自分で決めなければならないというプレッシャーが大きい。疲れたからといって、愚痴や不満をこぼす相手がいないから、憤懣が蓄積していき、どうしても孤立する傾向がある。大切なのは、介護を一人で抱え込まないこと。介護は突然やってきて、一度始まったら、やめようがない。独身者は、我が事として準備しておいたほうがいいでしょう」

 これもまた、日本が背負った大きな社会問題である。
(文=チーム・ヘルスプレス)