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チェキ、なぜ廃番寸前から国内外で人気沸騰?偶然重なり価値再認識、一部で必須アイテムに

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富士フイルム「チェキ instax mini 8」
 カメラといえば今やデジタルカメラ(デジカメ)を指す時代。そんな時代に、なぜかアナログのフィルムカメラが売れている。富士フイルムのインスタントカメラ「チェキ instax mini」シリーズだ。

 富士フイルムがチェキの初代機「instax mini10」を発売したのは1998年11月。フィルム代の安さが女子高生の間で受け、人気商品になった。だがデジカメやカメラ付き携帯電話の普及により人気が終息し、同社内では「いつ廃番にするか」が検討されていた。それがいつの間にか勢いを盛り返し、2013年度は約230万台を販売。今年度は300万台の販売を見込んでいる。

 一時は廃番の危機にさらされていた時代遅れのアナログ商品が、なぜ勢いを盛り返したのか。

 富士フイルムがチェキの開発を検討したのは95年頃。同社既存のインスタントカメラ「フォトラマ」の売れ行き不振が動機だった。フォトラマはフィルム代が1枚当たり200円と高価なうえ、携帯するには筐体が大きく、撮影時も持ち重りがするなどから「品質は別にして、商品的には当時全盛のポラロイドに太刀打ちできなかった」(カメラ業界関係者)。

 そこで富士フイルムが「フォトラマに代わるコンパクトで軽量なインスタントカメラの開発」(同社関係者)を検討していた頃、女子高生の間でプリクラがブームになっていた。同社はこれに着目、女子高生たちを東京・西麻布の本社に招いて集合ヒアリングを実施するなど、徹底的な市場調査を行った。
 
 それらの結果を参考に開発されたのがチェキだった。出力されるインスタント写真の大きさは、縦8.6cm、横5.4cmの名刺サイズ。高校生の生徒手帳とほぼ同じ大きさで、撮影した写真のプリントをそのまま生徒手帳に挟めるようになっていた。フィルム代も1枚80円。10枚使っても800円と、女子高生が小遣いで買える価格に設定した。

 当時、プリクラ1回の撮影代がおおむね400円。これで「プリクラより安く、どこでも写真が撮れる」チェキは、女子高生の口コミ効果で発売直後から「首都圏の量販店では品切れが続出するほどの人気商品」(同社関係者)となり、02年度には約100万台を販売するヒット商品になった。

 だが、これをピークに、前述のとおり競合商品普及のあおりで販売台数が急降下、人気が終息に向かう。05年度には販売台数が約10万台まで落ち込んだ。同社はほぼ2年おきにチェキをリニューアルしていたが、この頃は後継機の開発も中止。インスタントカメラ事業からいつ撤退してもおかしくない状況に陥っていた。

 しかし、こうした人気終息期にあってもチェキが売れている場所があった。東京・秋葉原のメイド喫茶だった。客がメイドとのツーショット写真の撮影を望むと「デジカメはダメだが、チェキはOK」との習慣がいつの間にか定着していた。デジカメと違い、チェキなら自分の写真を複製してばらまかれる恐れがないと、メイドが安心できるからだ。加えて店側も、チェキで撮影した写真にメイドの手書きコメントを添えて常連客に贈るサービスを競って行っていた。チェキはニッチな市場で辛うじて生きながらえていたのだ。