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ソニーのヴァーチャルリアリティ活用ゲーム、なぜ大反響?商業ベース目前、課題も

文=東賢志/A4studio
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 ソニー・コンピュータエンタテインメントが、家庭用ゲーム機「PlayStation 4」に接続して使用するヴァーチャルリアリティ(以下、VR)の新システムとして開発中の「Project Morpheus(以下、モーフィアス)」は、頭部の上半分を覆うヘッドマウントディスプレイ型で、装着したユーザーをたちまちリアルな3Dの世界へいざなってくれる次世代型ハードだ。そのデモ技術ソフトとして『サマーレッスン』(バンダイナムコゲームス)が発表された。

『サマーレッスン』は、女子高校生とのコミュニケーションをヴァーチャルな世界で体験できるソフトとあって、モーフィアスとともに大きな話題となり、賛否両論を含めて予想以上の反響が押し寄せた。そのため今年の9月18日から開催された「東京ゲームショウ2014」では、キャパシティの問題等で出展は中止となったが、その革新的な技術は業界関係者の驚きもさらった。

 ところでVRといえば、今年3月にヘッドマウントディスプレイ「オキュラス・リフト」の製造元である米Oculus VRが、米Facebookによって20億ドル(約2000億円)で買収され、世間の耳目を集めた。Facebook CEOのマーク・ザッカーバーグ氏は「オキュラスの技術をソーシャル分野でも活用したい」と語っており、低価格での市販モデル開発を求めているようだ。

 市場調査会社マーケッツ・アンド・マーケッツは、VRおよび関連末端市場は2018年までに10億6000万ドル(約1100億円)規模に成長すると予測を立てている。

モーフィアスと『サマーレッスン』の魅力

 ゲーム専門サイト「4Gamer.net」編集部は、大反響の理由について、次のように分析する。

「信頼の置けるメーカーと開発元からの発表という点が、一つのインパクトになったのでしょう。VRはヴァーチャルアイドルの『初音ミク』と握手ができるものや、ジェットコースターを疑似体験できるものなど、ユーザーが制作したデモ的な作品が多かったのですが、今回は規模が違います。国内商業ベースへの発展を踏まえ、注目を集めていると思います。特に『サマーレッスン』に関しては人気格闘ゲーム『鉄拳』クリエイターの原田勝弘氏がプロデュースをされているので、話題になるのも当然といえるでしょう」

 ユーザーの期待感は11年2月に販売開始された任天堂の携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS」の発売前と重なるものがあると同編集部はみている。

「当時、携帯型ゲーム機が3Dになるという情報は、驚きとともに新しい技術への期待が高まり、今回も似たところがあります。体験を文字や映像で伝えるのが難しいのも同じですし、なによりユーザーだけではなくクリエイターも、この技術をどのように使うとより楽しくなるのか考えなければなりません。現在、プロデューサーの原田氏の元には、業界関係者からも『体験させてほしい』との問い合わせが多く寄せられていると聞いています」

残された課題と一般化に向けて

 開発クリエイターの母数増加が優秀なタイトルを生み出す確率を上げることは、ゲーム業界の歴史が証明している。しかし、商品化に向けては課題も残っているそうだ。

「発売時期や価格帯といった課題はもちろんですが、どんなシーンで利用するのかを明確にする必要があります。視界と聴覚を没入させるスタイルなので、例えばリビングで遊ぶ際、人や物に接触すると危ないこともあります。熱中して足元がおろそかになるケースも考えられますし、そういった課題をいかにクリアするのかが重要です」(同)

 そのような課題はあるが、モーフィアスと『サマーレッスン』への期待値はやはり高い。

「プレイした誰もが『体感しないとわからない面白さがある』と話します。いずれにしても初期段階としては、おそらくガジェットに強い興味を持つ層から支持を集めるのではないかと思っています」(同)

 進化を続けるゲーム業界にVRジャンルがどこまで入り込めるのか、新たな風を感じながらプレイできる日を待ち望むばかりだ。
(文=東賢志/A4studio)

A4studio

A4studio

エーヨンスタジオ/WEB媒体(ニュースサイト)、雑誌媒体(週刊誌)を中心に、時事系、サブカル系、ビジネス系などのトピックの企画・編集・執筆を行う編集プロダクション。
株式会社A4studio

Twitter:@a4studio_tokyo

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