振り返ってみると第2次安倍内閣では、「政治とカネ」の問題で2人の閣僚が辞任し、そのほかにも適正に政治資金が使われていないのではないかと疑われる閣僚が続けて出てきた。
しかし、もっと根深い問題もある。それは、本来政治資金として使われるべきお金(税金)が、政党本部にプールされていることだ。
●218億円の政治資金をプールしている民主党
小渕優子大臣や松島みどり大臣の辞任の原因となった「政治資金収支報告書」は、総務省のHPで公表されている。誰もが見ることができるのは、非常にいいことだ。
この2人の問題がクローズアップされた10月、総務省HPを見てみた。ここでは、各政治家の資金管理団体のほかに、各政党本部の政治資金収支報告書も閲覧することができる。しかも11月末には、前年分の政治資金収支報告書が公表されることになっている。
12年の各党本部の政治資金収支報告書の概要は下記のとおりだ。
民主党(収入379億円、支出160億円、翌年への繰越 218億円)
共産党(収入245億円、支出235億円、翌年への繰越10億円)
公明党(収入191億円、支出136億円、翌年への繰越55億円)
自民党(収入182億円、支出168億円、翌年への繰越13億円)
12年は、民主党の野田佳彦元首相が「近いうちに国民の信を問う」と発言し、解散へとつながった前回の衆議院選挙があった年である。選挙があった年にもかかわらず、民主党は、収入379億円(政党交付金165億円、前年度からの繰越額183億円)の内160億円しか支出していない。
参考までに、10年と11年までの民主党の政治資金収支も見てみよう。
10年(収入255億円、支出167億円、翌年への繰越87億円)
11年(収入289億円、支出105億円、翌年への繰越183億円)
10~12年は、ほぼ民主党政権時代にかぶる。この時期に民主党は、なぜこんなにも多額の繰越金を発生させることができたのか。民主党の収入の大半は、政党交付金が占めている。まるで国民の税金で蓄財しているような状況だ。
●政党交付金も選挙資金に
そこで筆者は民主党本部に電話取材を行った。なお、電話取材に対応していただいたのは、民主党経理部・俊成浩章氏である。
— 12年の政治資金収支報告書によると、政党交付金が165億円、翌年への繰越額が218億円ですから、政党交付金を使っていないということになります。
俊成浩章氏(以下、俊成) 確かに、政党交付金の繰越は発生しています。