—政党交付金、すなわち税金が各政党に政治資金として交付されることは法律で決まっていますが、それを使わずに内部に留保しているのはいかがなものでしょうか。政党交付金をもらわなくてもいいのではないですか?
俊成 民主党は、収入の中で政党交付金の占める割合がかなり大きいのです。平時はいいのですが、選挙の場合には資金が大量に必要になりますので、繰越をさせて資金を積んでおかなくてはなりません。
–繰り越されているのは、選挙用の資金ということですか?
俊成 選挙も含めて、必要に応じて使うためです。
–民主党は、他党に比べて繰越金が異常に多いです。自民党が13億円、共産党が10億円、公明党が55億ですが、その中で民主党はなぜ218億円も繰り越さなくてはならないのでしょうか?
俊成 必要があるかどうかはそれぞれのお考えではありますが、民主党としては必要であると考えているということです。
–10年度から一貫して繰越額が増えており、政党交付金をほとんど使わずにプールしているような状況ですが、やはり必要な資金であるということですか?
俊成 資金が必要になった時に対応できるように繰り越しているのです。
–自民党や共産党や公明党に比べても、10倍近い金額が必要だと民主党は見込んでいらっしゃるということですか?
俊成 他党のことはわかりませんが、民主党としてはそういう考え方です。
–そもそも、選挙はそんなにお金が必要なのですか?
俊成 どのような事態になるかわかりませんので、常日頃から節約も含めて繰越金を積み上げている状況なのです。
–選挙には議員一人当たり1億、2億のお金が必要になるのですか?
俊成 資金が必要になるのは、選挙の時だけではありません。
–しかし基本的には、平時は繰越ができるように支出を抑え、選挙の時のためにプールしているということですね?
俊成 そういうことです。
–税金をそのようにプールすることを、どう思いますか?
俊成 制度上、何も問題はないと思いますが。
–確かに法令上は問題ないでしょうが、道義的にはいかがですか?
俊成 我々は、そういう考えでやっています。
–民主党は、「クリーンな政治」「議員定数の削減」「身を切る改革」など、政府の予算をなるべく抑えることを掲げていますが、その中で党の資金については、選挙資金として政党交付金を温存するお考えなのですね。
俊成 必要な資金を用意しておくという考え方はあります。
–ありがとうございました。
政界は選挙モードに突入しているが、各政党の政策判断材料ひとつとして、11月末に公表される政治資金収支報告書も閲覧することをお勧めしたい。各政党の意外な素顔が見えてくるはずだ。
政党交付金は、地方議員の政務活動費と同じように、「額は決まっているが、使用目的があいまい」という問題点を持っている。加えて、政務活動費は余ったら返還を求められるが、政党交付金は余っても返還を求められないため、民党のようにまるまる繰り越して選挙資金として留保することができてしまう。法律的には許されても、道義的には大いに疑問が残るところだ。
民主党の綱領には、「公正・公平・透明なルールのもと、生きがいを持って働き、互いに負担を分かち合う持続可能な社会を再構築しなければならない。そして政党と国民が信頼関係を築かなければならない」と書かれている。巨額の繰越金は、国民との信頼関係を築く上ではマイナスの行為ではないだろうか。
(文=大坪和博/PLAN G 代表)