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『ムカつくことには合理性がある~若き老害・常見陽平が吠える』

「ゆとり」のないゆとり世代 社会的にスルーされ搾取される若者と、価値観押し付ける大人

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「Thinkstock」より

●成人式で荒れる若者など、いるのか


 今年も成人式がやってきた。

 最初に言っておくが、私はこのイベントが大嫌いなのだ。自分の成人式の時には、当時住んでいた東京・立川市に新成人の友人がいないので欠席した。さらに、式典で政治家の説教など聞いたら負けだと思っていたのだ。朝日新聞と「世界」(岩波書店)と「噂の眞相」(噂の眞相)の愛読者だった当時の私にとって、政治家は敵だった。集団行動が苦手だった。当時の成人式は1月15日で固定だった。その翌々日に阪神・淡路大震災が起こったことのほうが記憶に残っている。いや、当然だ。なんせ行かなかったし、大震災のほうが集合的記憶とも言える、歴史的大事件なのだから。
 
 それ以上に不愉快なのは、成人式の報じられ方だ。成人式前後のメディアを見ると、大変に嫌な気分になる。どこでも「荒れる若者」などの騒動が報じられる。この手の騒動が全国区になったのは、2001年に起きた香川県高松市でのクラッカー事件、高知県高知市での橋本大二郎知事(当時)への帰れコール事件などだろうか。

『リクルートという幻想』(常見陽平/中公新書ラクレ)
 いや、荒れる若者がいることは事実だし、いまだにヤンチャなことで有名な自治体もあるし、報道されない騒動もあるだろう。ただ、この手の報道は、荒れそうな成人式をリストアップして、それを狙いうちしているようにも見える。

 虚実を確かめるために、生まれて初めて私が住んでいる東京の下町の成人式会場に行ってきた。いまだに江戸っ子とその息子も多いし、繁華街などもあり、やや治安が悪いエリアなのだが、見た目がEXILE風、E-girls風の者も多数いたものの、それでもだいたい2割弱くらいだった。今どき、その手のファッションの者はどこにでもいるだろう。会場出口での飲酒、喫煙もごくわずかだった。子連れが2組いたが、たくましさを感じた。地元の仲間との再会でテンションが上がっていたが、基本、真面目な若者たちだった。

 いや、これを一般化するつもりはまったくない。とはいえ、こういう「荒れる若者報道」なんてものは、一部の現象を一般化しているにすぎないということである。
 
 最近は、「ゆとり世代の若者はけしからん」というような「若者の劣化言説」もだいぶ見られなくなったものの、まだまだ若者を面白がり、揶揄する論調は見受けられる。極端な例の一般化も、である。その最たるものが成人式だと思う。