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過剰な自意識、人間関係の希薄さ……レイシストに「中年童貞」が多い理由

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※画像:『ルポ 中年童貞』著:中村淳彦/幻冬舎

 性行為の低年齢化が問題視されるようになって久しいが、それと矛盾するようにも見えるある問題が、近年指摘されるようになってきている。

 それは、性交未経験の男性についてだ。

 国立社会保障人口問題研究所の「第14回出生動向基本調査」(2010年)によると、20~24歳の未婚男性で性交経験のない人は40.5%と前回(2005年)より6.9ポイント上昇。30~34歳の未婚男性にいたっては26.1%と、4人に1人が童貞という計算になっている。

 ノンフィクションライター、中村淳彦さんの著書『ルポ 中年童貞』(幻冬舎/刊)は、特に30代以上の「中年童貞」に焦点をあて、彼らへの取材で浮かび上がった性格的・環境的な共通点から、日本社会の不健全さに切りこむ。

■「ネトウヨには中年童貞がメチャクチャ多い」


 宮田氏(仮名・44歳)は、中村さんが取材した「中年童貞」の中でも、かなり強烈なキャラクターの持ち主だ。

 仕事をしていないわけではないが、月に5日ほど。安価なショップでiPhoneを入手してすぐに違約金を払って解約、端末を秋葉原の高く買ってくれる店に売るということを繰り返しているという。

 基本的に家にいることが多く、家にいる時は読書をしているか、インターネットの掲示板やSNSに反韓国・反中国的なコメントを書きこむ。いわゆる“ネトウヨ”だ。

 しかし、宮田氏は自分が“ネトウヨ”であること、“中年童貞”であることに自覚的で、こんなことを言う。

 「ネトウヨには中年童貞がメチャクチャ多い」

 宮田氏の唯一の会社勤めは、ある警備会社での正社員の仕事だったが、同氏は入社してすぐに大きなトラブルを起こしてしまう。

 就職した警備会社の遵法意識が薄かったのがそもそもの問題ではあるのだが、会社に入ってすぐ、それらのコンプライアンス違反を挙げて経営陣に噛みつき、警察と税務署に内部告発、会社を潰してしまったのだ。

 宮田氏からすれば正義感ゆえの行動なのだろうが、いきなりの「実力行使」はいささかやり過ぎだろう。

 この、周囲の人間のことを考慮しない正義感は、中年童貞を考える上でキーワードとなる。中村さんは、この種類の正義感の強さと生真面目さ、そしてコミュニケーション能力の低さを中年童貞に多い特徴だとしている。

 そしてそのうえで、宮田氏の「ネトウヨには中年童貞が多い」という意見についても考察する。その正義感ゆえに不正や既得権に敏感で、人間関係が希薄。必然的に一人でいる時間が多いためにネットをする時間が増える。そこで、韓国人がおかしい、中国人がおかしいと議論しているうちにレイシストになってしまうというわけだ。

 もちろん、この本は中年童貞をいたずらに取り上げて、その実態をおもしろおかしく書き立てるものではない。宮田氏のように中年童貞であることを受け入れて、ありのまま生きようとしている例は稀で、ほとんどはその満たされなさや過剰な自意識、飢餓感の重苦しさが印象づけられる。