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横川潤「外食万華鏡」

「柱がマックしかない」マックは消えるのか?惨状を呼んだ大きな過ち もう耐えるしかない

文=横川潤/文教大学准教授、食評論家
「柱がマックしかない」マックは消えるのか?惨状を呼んだ大きな過ち もう耐えるしかないの画像11月7日、日本マクドナルドホールディングス記者会見の模様(撮影=山本宏樹)

 日本に上陸して44年、巨人マクドナルドがかつてない窮地にあえでいる――。

 日本マクドナルドホールディングスは16日、15年12月期連結決算の売上高が前期比10%減の2000億円、最終損益が380億円の赤字となり、前期に続いて2年連続で最終赤字になるとの予想を発表した。

 また、全店売上高は昨年2月から今年3月まで14カ月連続でマイナスを続け、客離れも止まらない。その原因は周知の通り、昨年に明るみに出た期限切れ鶏肉問題、今年に入ってから連続して発覚した異物混入問題、そしてサラ・カサノバ社長をはじめとする経営陣の対応のまずさなどである。つい数年前までは飛ぶ鳥を落とす勢いだったにもかかわらず、相次ぐトラブルで泣きっ面に蜂としかいいようのない惨状である。

 お客の健康と生命を預かる企業としてあってはならないトラブルの数々だが、深刻な健康被害に結びついたというケースは報告されていない。いきおい、マクドナルドの経営陣が問題を過小評価してしまった可能性は否めない。

 マクドナルドには、マスコミや消費者運動に「狙い撃ち」されてきた歴史がある。糖分や油脂に由来する肥満などの健康問題、スチロール製容器の使用による環境問題、果ては肉牛が排出する温室効果ガスの責任まで問われている。
 
 例えば健康問題については、『スーパーサイズ・ミー』(米国/04年)という全編マクドナルド批判の映画までつくられている。主人公によって1日3回ビッグマックを食べ続けたらどうなるか、という身体を張った「実験」が行われ、見事に健康を害したデータが示されてエンディングとなっている。

 少し行きすぎではないかとも思われるバッシングであるが、小さな会社を「標的」にしたところでその話題性はたかが知れている。世界で圧倒的な知名度を誇り、ビッグマックが各国の物価を計る物差しとなるほどの存在であるがゆえ、そのニュース性もグローバル級なのである。

 つまり、「狙い撃ち」の格好のターゲットであるマクドナルドにとっては、マスコミ対応と消費者対応は、全社的なNo.1プライオリティといっても過言ではない重要性を持つはずである。その軽視こそが、まず同社が犯した大きな過ちである。

●外食産業は「しんどい」時代

 私たちが住んでいる日本は今、国民にあまねく携帯電話が行き渡り、お互いが24時間監視し合い、記録し合えるという「恐ろしい社会」である。厨房や貯蔵庫で悪ふざけをする従業員や異物が混入した商品の写真が、一夜にして何万、何十万という人の目に触れかねない。そして国内だけで年間延べ13億人が利用するマクドナルドで、何も起こらないというほうが不思議である。

横川潤/文教大学准教授、食評論家

横川潤/文教大学准教授、食評論家

文教大学国際学部国際観光学科准教授。1962年、長野県生まれ。慶應義塾大学大学院修士課程修了。ニューヨーク大学経営大学院にてMBA取得
横川 潤 亜細亜大学

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