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ホンダ独り負け 無理な拡大路線が失敗&現場疲弊 異常なリコール連発、新車投入遅れ…

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ホンダ「フィットハイブリッド」(「Wikipedia」より/DY5W-sport)
 2015年3月期連結決算で国内自動車メーカーが大幅増益となる中、ホンダが苦戦している。ハイブリッドカーの品質問題から国内を中心に新型車の投入に遅れが生じ、新車販売が低迷し、同期決算では3期ぶりに減益となった。今後もタカタ製エアバッグ問題で、主力の北米販売も先行き不透明感が漂う。伊東孝紳社長の交代に伴って拡大戦略からの決別を決めたホンダは、かつての勢いを取り戻すことができるのか。

「世界販売目標600万台は、体質目標として掲げていた。現在は目標としていない」――。ホンダの岩村哲夫副社長は4月28日の決算発表記者会見で、伊東社長が掲げた世界販売計画をあっさりと撤回した。ホンダは、リーマンショックを機にした金融危機や、東日本大震災、タイの洪水による減産から回復した12年9月、伊東社長が16年度に四輪車の全世界販売台数を600万台以上にすると高らかに宣言、グローバルな自動車メーカーとして生き残るための拡大戦略を掲げた。

 しかし、11年度の四輪車販売台数は約310万台。これをほぼ倍増させるという拡大戦略による弊害と見られる事態が、14年度に相次いで表面化することになる。ホンダの主力車種「フィット」のハイブリッドカーで、発売から約1年間で5回もリコール(回収・無償修理)が発生。他の国内自動車メーカーを含めて、新型車投入から1年間で5度のリコールは「前例がない」(業界筋)とされる。

 これを受けてホンダでは、伊東社長などが役員報酬の一部を返納するとともに、新型車投入計画を一時凍結し、開発中のニューモデルの品質確認を徹底。新型車投入が計画より大幅に遅れたことによって、販売計画も大幅に下方修正せざるを得なかった。最も影響を受けたのは国内販売だ。14年度当初の国内販売計画は103万台と、初の100万台超を狙っていた。しかし、四半期決算発表ごとに計画を下方修正、最終的に14年度国内販売台数は前年同期比7%減の79万台と、当初計画とは程遠い実績に終わった。

 販売台数が計画を大幅に下回ったのは、新車投入計画の遅れ以外にも原因があるとされている。世界販売計画600万台という「急激な販売増に向けて開発や生産の現場に大きな負担がかかり、疲弊している」(ホンダ系サプライヤー)ことだ。フィットの品質問題でも「設計・開発部門に過度な負担がかかっていることが原因のひとつ」(同)との見方は少なくない。

厳しい業績見通し


 15年3月期連結決算(米国会計基準)はフィットやタカタ製エアバッグの品質問題などの影響もあり、純利益が同8.9%減の5227億円と減益に陥った。ホンダでは、拡大戦略を主導してきた伊東社長が6月開催の定時株主総会で退任、八郷隆弘氏が新社長に就任する。伊東社長の退任決定を機にグローバル販売台数600万台の旗を降ろしたホンダだが、今期の業績見通しも厳しい。