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林裕之&林葉子「少油生活のススメ」

日本人が大量摂取のパーム油は超危険!パン、菓子、カップ麺…発がんや糖尿病のリスクも

文=林裕之/植物油研究家、林葉子/知食料理研究家

パーム油は大腸がんや糖尿病の危険

 しかし、安全だとして代替に使われている油もトランス脂肪酸に劣らぬ危ない油なのです。それはパーム油です。日本では家庭で使われることがほとんどないため認知度は低いのですが、すでに日本人は平均で年間4kgものパーム油を摂取しているのです。

日本人が大量摂取のパーム油は超危険!パン、菓子、カップ麺…発がんや糖尿病のリスクもの画像2こんなところにも隠れ油!バニラアイスの植物油23.1g/200ml(パーム油とキャノーラ油の混合油が多い)

 パーム油はアブラヤシの実の果肉部分を原材料とした半固形の植物油で、今流行のココナツオイルとは別ものです。インドネシア、マレーシア、タイが主な原産国で、収穫量は菜種の70倍と桁違いに多く、年間を通して安定して収穫ができるため、森林を伐採して栽培面積は増えています。

 かつてパーム油(アブラヤシ油)は主に石鹸の原料でしたが、精製法が向上して食用油として世界中で消費されるようになり、今では生産量世界一の植物油です。日本での消費量はキャノーラ(なたね)油に次いで2番目で、ファストフードや惣菜の揚げ油、パンやドーナツ、ポテトフライ、ケーキ、クッキー、カップ麺などに使われています。マーガリンやショートニングなどのトランス脂肪酸の毒性に注目が集まる中、水素添加しなくとも半固形で無味無臭なため用途が広く、何より安価なパーム油は消費量を伸ばしています。

 しかし、そのパーム油も決して安全な植物油ではありません。

 日本人のがん死亡者数で女性の1位、男性の3位である大腸がんは、さらに増加傾向にあります。リノール酸には大腸がんの発がん促進作用があるといわれていますが、リノール酸の少ないパーム油にも発がん促進作用があり、ラットの実験ではリノール酸よりもパーム油を与えたほうが大腸がんが多発したとの報告があります。

 また、パーム油には血糖値を下げるインスリンの働きを阻害する作用も確認されており、糖尿病の発症にも深く結びついています。

 さらに、マウスにパーム油を与えた別の実験では、キャノーラ油、ラードを与えたマウスより異常に生存率が低かったとの報告もあります。
 
 こうした報告を裏付けるように、農水省のHP「トランス脂肪酸の低減」のページには、次のような記載があります。

「米国農務省(USDA)は、食品事業者にとってパーム油はトランス脂肪酸の健康的な代替油脂にはならないとする研究報告を公表しています」

 安全性に疑問の残るパーム油は、トランス脂肪酸以上に危険な「隠れ油」なのです。本連載でお勧めしている「少油生活」を実践する意義は、ますます深くなっていきます。
(文=林裕之/植物油研究家、林葉子/知食料理研究家)

林裕之/植物油研究家、林葉子/知食料理研究家

林裕之/植物油研究家、林葉子/知食料理研究家

●林 裕之 1956年 東京生まれ(植物油研究家)/林 葉子 1954年 東京生まれ(知食料理研究家)

娘のアトピー再発をきっかけに植物油の害を知る。あまり知られていない植物油の正しい情報を知ってもらうべく、「油を変えて美味しく体質改善」をテーマに、レシピ本や料理教室、ブログなどの活動を夫婦で展開中。著書に『「DE-OIL」でキレイになる』(MIDI)、『体に良い油で作る絶品料理 (1)からだがよろこぶ!賢脳・健康レシピ』『体に良い油で作る絶品料理 (2)あたまがよろこぶ!賢脳・健康レシピ』(ともにダイナミックセラーズ出版)『その病気、その疲労、「隠れ油」が原因です!』(三笠書房)などがある。。

ブログ:「『DE-OIL』でキレイになる」…オメガ3系の油“アマニ油、えごま油” で体質改善。体と頭に効く油別の料理ブログ。

Twitter:@ag_tora

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