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安倍首相の携帯料金値下げ指示、利用者と業界全体に甚大な悪影響?より値上がりの恐れも

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9月30日の新製品発表会で囲み取材に応えるNTTドコモの加藤薫社長。スマートフォンへの移行でデータ通信量が増えていることから、単純な値下げには慎重な姿勢を見せた

 安倍晋三首相が9月11日の経済財政諮問会議において、携帯電話料金の引き下げを検討するよう指示したことが大きな波紋を広げている。だが実際のところ、携帯電話の料金を単純に下げることが、携帯電話事業者(キャリア)だけでなく消費者にとって必ずしもプラスになるとは限らない。

時価総額2兆円以上が吹き飛んだ首相の値下げ発言

 アップルのiPhoneの最新機種であるiPhone 6s/6s Plusをはじめ、冬商戦に向けた新スマートフォンの登場を間近に控えた9月11日、携帯電話業界に大きな衝撃が走る出来事が起きた。

 その発端となったのは、国のトップでもある安倍晋三首相だ。同日に実施された経済財政諮問会議において、安倍首相は携帯電話料金の家計負担が大きいとして、高市早苗総務大臣に料金引き下げを検討するよう指示を出したのだ。このことが引き金となり、業界全体の将来性に対する不安が高まったことから、週が明けた9月14日の大手3社の株価は軒並み急落。時価総額で2兆円以上が吹き飛ぶ事態となったのである。突然の値下げ指示によって先の見えない状況に、各キャリアとも戸惑う様子を見せているようだ。

 一体、安倍首相はどのような目的で、料金引き下げを打ち出したのだろうか。甘利明内閣府特命担当大臣による記者会見要旨を見ると、首相が料金の引き下げを指示したのは、「携帯料金等の家計負担の軽減は大きな課題」となっており、家計負担を軽減することを重視していることがわかる。

 さらにその後の質疑応答を見ると、甘利大臣の「3社体制で固定化してしまっていて競争政策が働いていないのではないかという指摘もあります」という発言も出ている。そうしたことから、今回の安倍首相の値下げ指示は、“家計負担の軽減”と“キャリアの競争促進”が目的になっていると、読み取ることができそうだ。海外の他の国と比べて高いか安いかではなく、あくまで国民の生活費の中で、携帯電話料金負担が大きくなっていることを懸念し、今回の施策を打ち出すに至ったようだ。

 では、それを受けた高市大臣は、どのようなかたちでの値下げを検討しているのだろうか。高市大臣の9月29日閣議後記者会見の概要を見ると、大きく分けて3つの要素を挙げている。

 1つ目は、データ通信のライトユーザーや通話かけ放題が不要な人などに向け、料金プランの多様化を進めること。2つ目は、端末価格と通信料金の一体化を是正し、端末の値引き競争からサービス・料金を中心とした競争へ転換すること。そして3つ目は、仮想移動体通信事業者(MVNO)によるサービスの低廉化や多様化を進め、競争を促進していくことだ。なお具体的な内容については、10月19日よりタスクフォースを設置し、その中で数カ月かけて詰めていくとしている。