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トヨタ、組織改革で「自滅行為」進行か…強さの源泉・生産技術基盤が破壊の兆候

文=井上隆一郎/桜美林大学教授
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トヨタ、組織改革で「自滅行為」進行か…強さの源泉・生産技術基盤が破壊の兆候の画像1トヨタ、5年ぶり減収減益(Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

大きな減益に陥ったトヨタ

 10日に発表されたトヨタ自動車の2017年3月期連結決算は、営業利益が1兆9943億円で前期比30%の減少である。過去に2兆円台をやすやすと確保していた同社にしてみれば、大きな落ち込みである。公式説明では為替の円高傾向という外部要因を強調している。もちろん為替も一要因ではあるが、本質的な問題ではない。18年3月期も減収減益を予想しており、売上は27兆5000億円と微減が見込まれている。リーマンショック時で3兆円ほどの落ち込み、営業利益が5000億円台の赤字であった。平時なのに3000億円台の落ち込みは、何やら大きな事態が進行しているとみるべきであろう。

構造転換への対応の側面

 
 支出面で大きな研究開発費が利益の伸びを重くしている点は、注目しておく必要があるだろう。自動運転車、次世代環境対応車など、業界リーダーであるトヨタが、他社に先駆けて進めなければならない研究開発は目白押しで、ここへの支出が加速度的に膨らむのはやむを得ない点であろう。確かに、これらの研究開発費にはリスクもあるが、同時に次の時代の大きな利益の伸びを期待できるものだからだ。

 しかし、利益の落ち込みはそれだけではないと筆者はみている。

大幅な組織改革の深化

 トヨタがこの数年間、大幅な組織改革を続けていることはよく知られている。11年には先進国と新興国への対応を抜本的に分ける「第1トヨタ」「第2トヨタ」などを含む「地域主体経営」への転換、13年の「ビジネスユニット制」の導入、16年の「カンパニー制」への移行である。筆者は長年経営コンサルタント業界に身を置いていた。このような組織改革プランはかつて見た懐かしい風景だが、トヨタはこうしたコンサルタント的な組織改革には関心を示さなかった企業であったことを思い出す。

 トヨタの広報資料を見ると下記のように書かれている。

「・製品群ごとに7つのカンパニー体制へ移行し、中短期の商品計画や製品企画はカンパニーが担う。
『先進技術開発カンパニー』
『Toyota Compact Car Company』
『Mid-size Vehicle Company』
『CV Company』
『Lexus International Co.』
『パワートレーンカンパニー』
『コネクティッドカンパニー』
・従来、機能軸の組織であった技術と生産技術を先行・量産でわけ、各カンパニーに振り分け。(グループ内で車両の開発生産を担う車体メーカーも各カンパニーに参画)
・責任・権限を各プレジデントに集約、企画から生産まで一貫したオペレーションを実施。」

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