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『モンテ・クリスト伯』最終回めぐりネット上で解釈論争…フジテレビ完全復活の兆し

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『モンテ・クリスト伯』公式サイトより

 ディーン・フジオカ主演の連続テレビドラマ『モンテ・クリスト伯-華麗なる復讐-』(フジテレビ系)の最終回が14日に放送され、平均視聴率は前回より0.6ポイント減の6.8%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)だったことがわかった。本作は、『巌窟王』の名で知られる有名小説を下敷きにしており、平穏に暮らしていた日々を突然奪われた主人公・柴門暖(ディーン)がモンテ・クリスト・真海と名を改め、自分を陥れた者たちに復讐を果たすストーリーだ。

 最終回の焦点は、当然のことながら真海の復讐が完結するのかどうかのただ一点であった。先に答えを書いてしまうと、確かに復讐は完結した。賛否両論はあるだろうし、筆者も必ずしも納得はしていないが、あれ以外の結末もなかっただろうとは思っている。どんな結末だったか、書いておこう。

 警視庁の入間公平(高橋克典)は、殺人容疑で手配されている安堂完治(葉山奨之)の実父であり、しかも保身のためにその息子を殺そうとしたことが明るみに出てしまい、社会的に破滅する。一方、神楽清(新井浩文)は、かつて真海が牢獄で受けたのと同じ目に遭わされた後、真海の別荘で椅子に拘束される。「暖と話をする」と別荘に乗り込んできた南條幸男(大倉忠義)も、同じく椅子に拘束される。するとそこに、真海に招待されたすみれ(山本美月)がやって来る。

「これで(復讐は)終わりにしよう」と懇願するすみれに、真海は自分と結婚してくれるなら復讐は終わりにすると告げる。両目から涙をあふれさせながら彼を見つめ、「私は真海さんと結婚します」と答えるすみれ。それを聞いた真海は一瞬だけ微笑みを浮かべるが、見る見るうちに生気を失った目になり、今にも泣きだしそうな表情で「最後に愛は勝つんだ」とつぶやく。続いて復讐の完了を宣言して3人を去らせ、虚脱感に満ちた表情で「ああ楽しかった」とつぶやいてから屋敷に火を放った。

 結局3人は逮捕され、現場にいた神楽や南条は警察の取り調べに「真海は火事で死んだ」と供述する。だが、ラストシーンではどこかの港で見つめ合う真海と愛梨(桜井ユキ)の姿が映し出された――という展開だった。

 放送後は、「復讐がヌルいのではないか」という批判がインターネット上で相次いだ。小悪党の寺角(渋川清彦)は(真海が手を下したわけではないにせよ)殺されたのに、メインターゲットの3人は誰も死なず、特に神楽と南条はこの後もなんだかんだ元気に生きていきそうな描き方だったからだ。とはいえ、主人公が復讐と称して人を殺せばいいというものでもあるまい。だいぶ回りくどかったが、3人からそれぞれ何もかも奪ったうえで命だけは助けるという結末は、テレビという媒体で描ける復讐としてはまあまあな落としどころだったのではないだろうか。

 復讐をやめる条件を「すみれとの結婚」にしたのはなぜなのか、「愛は勝つんだ」とのつぶやきにはどんな意味があるのかなど、視聴者の想像に任されている部分も多く、ネット上でもいろいろな考察がなされている。

 もちろん正解などわかるはずもないが、筆者は「真海は復讐をやめたいと思っていた」との説を推したい。復讐への執念を自ら奮い立たせているような描写があった(奮い立たせなければならなかった)ことや、「なぜこんなことになってしまったんだろう」と守尾信一朗(高杉真宙)に話す場面などがあったことが理由だ。すみれはこれを察し、結婚を承諾することで、真海に復讐をやめる大義名分を与えたということなのではないだろうか。すみれの選択で真海は心が救われ、神楽や南条も命が助かる。真海はそんなすみれの心遣いを「愛は勝つんだ」という一言で表現したのかもしれない。

 最終回は一見すると「あっさり復讐が終わったなあ」という印象だが、このように細部に注目してみると意外に深い。登場人物の台詞や行動が過去の言動と矛盾していたり、感情の流れがうまくつながっていなかったりする部分が目立ちはしたが、終わってみれば「あまり残虐な内容は描けない」というテレビ的な制約のなかで健闘した作品だったといえよう。

 役者陣の奮闘も目立った。特に主演のディーンは、これまで「大根」「棒演技」と揶揄されることも多かったが、この作品でそんな評価を払拭したのではないだろうか。第1話の漁師役こそまったく合っていなかったが、投資家の真海となってからはケレン味たっぷりに復讐に燃える冷徹な男を演じ、視聴者をグイグイ引き付けた。最終回で見せた山本美月との対決シーンでは、「こんなに細かい表情の演技ができるのか」と筆者も驚かされた。

 珍しく悪役を演じた高橋克典も毎回本当に憎たらしかったし、かわいい顔で浮き浮きしながら次々と人殺しを企む山口紗弥加の殺人鬼ぶりも不謹慎ながら楽しかった。また、前半は病みきった女性、中盤以降は一転して男たちと渡り合う「強い母」を演じた稲森いずみの妖艶ぶりもドラマを盛り上げた。

 フジテレビはここ最近、質の良いドラマづくりを続けており、一時期のように「だからフジはダメなんだ」と言われることが少なくなっているように感じる。ぜひ今後も真摯なドラマづくりをしてほしい。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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