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カロリーメイト、なぜ名作アニメを次々パロディ化?効果は?大塚製薬に聞いた

文=萩原雄太/かもめマシーン
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「冗談は髪型だけにしてください」と、課長・荒巻大輔に対して草薙素子がマジギレ。「偉い人にあいさつもせず、いつも不機嫌そうな顔をしている」との理由で、公安9課は「公安9愛好会」に降格させられてしまった。

 登場するキャラクターや設定は劇場用アニメ映画『攻殻機動隊ARISE』(東宝)そのままで、ストーリーはハチャメチャな「“降格”機動隊」は、インターネット上に開局した仮想放送局「チャンネル5.5」で配信されているアニメだ。6月9日時点で、すでに40万再生を超えている動画。コアなファンの多い「攻殻機動隊」シリーズだけにSNSなどを中心に広まり、話題を呼んでいる。

 このほかにも、新巻鮭部長とエビ薙素子が登場する「甲殻類機動隊」や、少佐が“機動隊”の漢字を書けないというストーリーの「こう書く機動隊」を配信している。また、人気推理漫画『金田一少年の事件簿』(講談社)のシリーズもパロディ化。不動産業者になった「金田一少年のお部屋探し」、年老いた金田一少年が登場する「金田一少年の恋女房」など、原作のイメージを大きく壊す動画を発表し続けている。

カロリーメイトのイメージアップに貢献?

 これらのアニメを手がけているのは、アニメクリエイターとして活躍するFROGMANと大塚製薬の「カロリーメイト」。アニメ界の奇才と発売から30年を経た食品ブランドがタッグを組み、無茶苦茶なアニメを世に送り出している。しかし、ブランドにとって、最も大事なのはイメージ戦略のはず……。有名アニメをパロディにするという企画は、やや攻めすぎなのではないだろうか?

「チャンネル5.5開局以降、『カロリーメイトが面白いことをやっている』という声を聞くようになり、より身近なブランドとして感じていただけているのではないかと実感しています。一方的な製品PRだけではなく、消費者の方々に一緒に楽しんでもらえるコミュニケーションとして開局しました」(広報担当者)

 アニメの中では、こじつけともいえるほど強引に「バランス栄養食」「手軽に味わえる」などカロリーメイトの特徴が盛り込まれている。しかし、この「こじつけ感」もギャグにできてしまうのがFROGMAN作品の妙ともいえる。視聴者には、嫌味なくカロリーメイトの特徴が伝わるだろう。だが、原作への愛着が深いアニメファンたちからしてみれば、キャラだけは都合よく使い、内容を換骨奪胎したチャンネル5.5の作品に対して、お叱りの声が寄せられているのではないだろうか?

この疑問について、大塚製薬の広報担当者は次のように語る。

「今まで、お叱りの声などはありません。ファンのみなさまにもしっかりと受け入れていただいているようです。今後も、原作ファンの方も爆笑できるようないい“壊し方”を心がけて、FROGMANさんと制作していきます」

 現段階では、次に“壊す”アニメの名前は秘密だが「なるべく誰もが知っているような作品を選ぶようにしている」(広報担当者)という。現在、サイト上に掲載されている動画の累計再生回数は180万回を超えており、消費者の間でカロリーメイトのイメージはじわじわと変わりつつある。奇才アニメクリエイターが引っ掻き回す名作アニメという異例のコンテンツが、老舗ブランドに新しい風を吹き込んでいるようだ。
(文=萩原雄太/かもめマシーン)

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