一部フランスメディアは、2020年の東京五輪・パラリンピックの招致をめぐり、フランス司法当局が日本の招致委員会委員長だった竹田恒和・JOC(日本オリンピック委員会)会長への捜査開始を決定したと報じた。これを受け竹田氏は11日、以下コメントを発表した。
「フランス・ルモンド紙の本日の記事に基づき私が起訴されたとの間違った情報が発信されているようですが、記事にはそのような記載はありませんし、またそのような事実もありません」
「フランス当局が調査している国際陸上競技連盟の前会長であるラミン・ディアク氏、その息子パパマッサタ・ディアク氏とブラックタイディングス社代表のタン氏の一連の疑惑捜査の件で、私は、東京2020年招致活動に関し、その調査協力として担当判事のヒアリングをフランス・パリにて受けました」
「招致委員会は、ブラックタイディングス社とのコンサルタント契約に基づき正当な対価を支払ったものであり、贈賄にあたるような不正なことは何も行っていないことを私は説明いたしました」
竹田氏は15日に会見を開き、改めて経緯の説明を行う予定だが、東京五輪招致をめぐる贈収賄疑惑については、2016年の段階でフランス当局が捜査を進めており、当時、竹田氏も国会に参考人として呼ばれ説明を行っている。
問題となっているのは、招致委員会によるブラックタイディングス社(BT社/シンガポール)への支払いについてだ。招致委員会は五輪招致活動の一環として、国際陸上競技連盟(IAAF)前会長のラミン・ディアク氏の息子、パパマッサタ・ディアク氏と関係が深いコンサルタント会社、BT社へ13年の7月と10月、計約2億数千万円を入金。招致決定が同年9月であることなどから、ディアク親子への贈賄が行われていたのではないかという見方が浮上していた。
「招致委員会がBT社に入金したカネが、BT社経由でディアク親子に渡っていたのではないかということで、贈賄の疑いが海外メディアなどで報じられてきました。フランス当局はラミン・ディアク氏をリオ五輪招致をめぐる収賄などの疑いで起訴しており、当局はその捜査の過程において、東京五輪招致をめぐる不正疑惑についても調べているようです。すでに竹田氏は昨年12月にフランス当局から事情聴取を受けているということですが、もし起訴されれば、世界的な大事件となるでしょう」(新聞記者)
電通の責任
BT社との契約については16年、馳浩文部科学相(当時)は「電通に勧められて招致委員会が契約を判断した」と説明しており、竹田氏も「電通に実績を確認した」とコメントしている。