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東京五輪、ボランティア不足懸念で大学に授業日程変更を要請…小中校生も「無償動員」

取材/文=小石川シンイチ

 2020年の東京オリンピック・パラリンピック(以下、東京五輪)のボランティアの募集が始まった。東京五輪は20年7月24日~8月9日、8月25日~9月6日に開催される。ボランティアは、大会の運営に直接関係する「大会ボランティア」(8万人)と、競技場が所在する自治体で交通案内などを行う都市ボランティア(3万人)の2種類ある。

 こうしたボランティアを「ブラック五輪」「やりがい搾取」だと批判するのは、『ブラックボランティア』(角川新書)の著者で、著述家の本間龍氏だ。

「駆り出される11万人のボランティア。この数は、16年のリオ五輪で動員されたボランティア約7万人の1.5倍で五輪史上最高です。にもかかわらず、ボランティアの条件はブラック。自由意思で参加するのがボランティアのはずなのに、『1日8時間、10日以上参加できる方』というハードな条件が設けられています。これでは、もはや“仕事”。にもかかわらず、報酬はゼロなんです。さらに、大会の前には、数種類の研修が3~4回あります。これらに参加するための交通費や宿泊費は自己負担。当初は、大会期間中の交通費・宿泊費も自己負担でしたが、批判が殺到したからか、最近、一部の交通費のみ支給されることになりました」(本間氏)

 そもそもオリンピックは商業イベントだ。

「東京五輪では、すでに52社のスポンサーから推定で五輪史上最高額の約4000億円を集めています。公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(以下・組織委)のホームページにアップされている『役員及び評議員の報酬並びに費用に関する規程』という書類には、最高月額200万円という役員報酬が設定されていた。にもかかわらずボランティアだけ無報酬はおかしい」(同)

「ボランティア」は「自発的」という意味で「無報酬」ではないのだが、「ボランティア=無報酬」という日本人の思い込みにつけこんでいるのだ。

国が大学生の本業である学業に介入

 こうしたボランティアとして最もターゲットにされているのが、比較的時間に融通がつきやすい学生だ。文科省とスポーツ庁は、ボランティア募集者が不足することを懸念して、全国の大学や高等専門学校に授業や試験のスケジュール変更の配慮を要請(通知)していたことが明らかとなっている(8月16日付日本経済新聞記事『東京五輪ボランティア、主力の学生確保に悩み』より)。大学側もボランティアへの参加を単位として「認定する予定がある」と4校(亜細亜大学や日本体育大学など)が答えるなど、全体のほぼ半数の49%の大学が単位認定することを検討していると報道されている(9月6日付NHK NEWS WEB記事『東京五輪パラ ボランティア 大学の半数が単位認定を検討』)

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