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“独裁企業”日産、ゴーン氏と西川廣人社長は同罪…ゴーン氏が日本人を舐め切っていた証拠

文=編集部
“独裁企業”日産、ゴーン氏と西川廣人社長は同罪…ゴーン氏が日本人を舐め切っていた証拠の画像1日産自動車・西川廣人社長(写真:森田直樹/アフロ)

 日産自動車のカルロス・ゴーン前会長は3月6日16時31分、東京拘置所から作業着姿に「変装」して出てきた。「無罪」ではなく「無実」を主張しているのだから、正々堂々と背広姿で出てくるべきだった。「無実」の主張まで「変装」しているように受け止められたのは、裁判の戦術上もまずかった。

 母国フランスの有力紙フィガロは、電子版で次のように報じた。

「ゴーン前会長が思いついたのは、ナポレオン3世が脱出する時に労働者から服を借りたことだった」

 これは、のちにナポレオン3世となるルイ・ナポレオンが1846年5月25日、石工職人の服を着て、収監先のアム要塞から脱走したエピソードになぞらえたものだ。協力した石工の名前にちなみ、ルイ・ナポレオンに「バゲンダ」というアダ名が付いた。

 歴史家は、ナポレオン3世を「民主主義という名の下における専制君主」と定義した。

 ゴーン氏の保釈に合わせたかのように、『日産 独裁経営と権力抗争の末路 ゴーン・石原・川又・塩路の汚れた系譜』(有森隆/さくら舎)が刊行された。

 帝王、皇帝、暴君、独裁者、ワンマン、カリスマ――。猛禽類のような鋭い目をしたゴーン氏には、こんな異名がつきまとう。ゴーン氏も「民主主義という名の下における専制君主」だった。

日産の権力闘争の歴史

 なぜゴーン氏に権力が集中し、暴走を許したのか。誰がそうしたのか。同書は、歴代の日産トップに遡って日産の構造的な腐敗を検証している。著者は「はじめに」で、権力抗争と腐敗の系譜について、こう書いている。

「戦後、日産の経営陣は1953年の大規模な労働争議を頂点に、強力な左翼労働組合に翻弄されてきた。日産の大争議のとき、(会社側は)第二組合の誕生によって窮地を救われた、組合に大きな借りをつくってしまった。

 第二組合の力を借りて、第一組合の切り崩しに狂奔し、業績を盛り返した9代目社長の川又克二は『日産中興の祖』と評された。1973年まで16年にわたって社長の椅子に居続けた川又に権力が集中し、公私混同があった。

 川又の懐刀で、自動車労連の会長を務めた塩路一郎は組合で絶大な権力を握った。日産の生産現場を牛耳り、人事権まで手中に収め、経営陣でさえ逆らえないほどの絶対的な権力を長期にわたって行使してきた。

 工場のオペレーションをどうするのか。次にどのようなクルマを開発して売り出すかといった経営方針は本来、経営側が決めるべきものである。日産では、経営権を労働組合、いいや塩路ひとりに奪われ、役員ですら口出しできない異常事態に陥った。現場の人事を介して、労組が経営に介入する状態がつづき、ついには経営戦略や役員人事まで口を挟むようになった。

 塩路は独裁体制をつくった。1983年8月、記者会見し、『英国に工場をつくることに反対する』と主張した。海外進出計画に労組が公然と異を唱えたことに11代目社長の石原俊は激怒した。塩路は組合の則を越えてしまったのだ。

 謀略の応酬の果て、石原は塩路の追い落としに成功。日産の新たな独裁者となった。

 川又、塩路、石原の3人はそれぞれ独裁的な権力を手にするために、激烈な社内抗争を勝ち抜いてきた。人事をエサにした懐柔工作は当たり前。怪文書が飛び交い、社内は疲弊した。

 特に、塩路と石原の対立は、経営の混迷をもたらした。1999年、経営破綻直前まで追い込まれ、ルノーの軍門に下る遠因となった。

 日産の救世主として登場したカルロス・ゴーンも、絶対的な権力者となり、会社を私物化。ほしいままに収奪した。ゴーンも人事権と予算権を握り、独裁者として君臨した。それは、川又、塩路、石原がやってきたことと相似形だが、日産がグローバル化した結果、ゴーンの権力は海外にまで及んだ」

「ゴーンの行状で際立っているのは、報酬などをめぐる疑惑がベルサイユ宮殿での自らの結婚披露宴費用の流用などを除き、ルノーでは起きず、日産とオランダに設立された日産・ルノーの共同出資会社、日産・三菱自動車の共同出資会社に限られていることだ。ゴーンは日本人を舐め切っているのか」

「一つだけはっきりしていることがある。日産のガバナンス(企業統治)は取締役会から業務執行のあらゆる局面で機能不全に陥っていたということだ。

 その意味では、“ミニ・ゴーン”、あるいは“ゴーン・チルドレン”とされる西川廣人はゴーンとほぼ同罪である」

「圧倒的なパワーをもつ権力者があらわれると、圧倒されてしまう。長い物には巻かれろ。権力、権限をもつ者、強い者に逆らっても得にならない。言うなりになるしかない。権力に従順になる(日産の)社風が権力者を生みやすい土壌となっている」

 著者の有森氏は「これからも、川又、塩路、石原、ゴーンに連なる“独裁のDNA”は脈々と生き続ける」と言い切る。本書は「日産の正史(社史)から消された『裏面史』である」と結んでいる。
(文=編集部)

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