4月13日、スルガ銀行の業務停止が解けた。金融庁は検査で判明した創業家の関連企業への不適切融資や反社会的勢力との取引など、新たな事実を指摘。健全な業務運営態勢の整備を求めてきた。業務停止が解けたことで、スルガ銀行がいつ不動産向け融資を再開するかが焦点となる。融資を行わなければ事業を継続できないため、5月下旬にはなんらかのアクションを起こすとみられる。地方の不動産物件が再度、動き出すようになるのか。
本稿では、スポンサー候補を独自の視点でリストアップする。
新生銀行は今や公的資金を返済できない唯一の銀行となった。
「新生銀行がスルガ銀行救済に手を挙げているのは、金融庁に恩を売って、金融庁との関係を良くしたいとの思惑があるからだ。今や新生銀行は、実質的にノンバンク状態で、普通の銀行は組みたくないはず。その意味で、同様にノンバンク化したスルガ銀行なら親和性がある」(有力金融筋)
こうした背景もあって、新生銀行がスルガ銀行の“受け皿”のダークホースとして急浮上してきた。
4月10日付日本経済新聞は1面で「スルガ銀支援、4陣営と交渉」と報じ、「りそなやSBI ノジマは4.98%取得」とした。
神奈川県が地盤の家電量販店中堅のノジマは、スルガ銀行の株式を市場で5%弱取得した。家電の販売金融などで相乗効果が見込めると判断している。しかし、年商5000億円のノジマがスルガ銀行を丸飲みするのには無理がある。異業種の軍門に降ることをスルガ銀行が容認するとは考えにくい。
SBIホールディングスの北尾吉孝社長は「我々ならスルガ銀行をうまくマネージメントできる」と意欲を燃やしていた。市場経由でスルガ銀行株を買う可能性を、スルガ銀行側に伝えたという。
スルガ銀行は、りそなホールディングス(HD)とも業務提携を軸に交渉しているが、シェアハウス以外に1.6兆円ある不動産関連の貸付債権の毀損度をどう見るかなど、受け皿候補となっている金融機関は慎重に審査することになる。
これまでの取材で明らかになったことがある。スルガ銀行は、りそな銀行と埼玉りそな銀行を傘下に持つりそなHDと最優先に交渉を続けてきた。だが、りそなHDは業務提携にこだわった。資本提携にリスクを感じているからだろう。
一方、みずほ銀行を傘下に持つみずほフィナンシャルグループ(FG)も、受け皿の有力候補と取り沙汰された。「金融庁が非公式に、みずほFGに(引き受けを)打診した」(有力地銀の頭取)との情報が駆け巡った時期もある。
ちなみに、銀行に20%以上出資する場合には、金融庁の認可が必要になる。