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なぜ小保方晴子氏は「STAP細胞を見た」と思い込んだ?間違った発表をする科学者たち

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リチャード・ハリス氏

 小保方晴子氏が「STAP細胞」をつくることに成功したと発表し、一躍脚光を浴びたのちに、実験過程や論文に不正があったなどとして、一転して理化学研究所を追われることなった騒動から、早くも5年が経過した。

 今年3月に上梓された『生命科学クライシス』(白揚社)では、日本に限らず学術研究の世界に横たわる構造的問題点を指摘している。それは、STAP問題にも当てはまる。5月4日の日本経済新聞では、同書を紹介しつつ、日本の研究分野全体の衰退を懸念する東京大学・佐倉統教授のコメントを掲載した。

 今回、同書の著者であるリチャード・ハリス氏に、なぜ科学研究の分野で誇張や捏造が頻繁に起こるのか、話を聞いた。

STAP騒動はなぜ起きたのか

『生命科学クライシス―新薬開発の危ない現場』(リチャード・ハリス/白揚社)
― 翻訳のタイトルは『生命科学クライシス』ですが、元の英語のタイトルは“Rigor Mortis”ですね。これはどういう意味ですか。

リチャード・ハリス(以下、ハリス) ラテン語で「死後硬直」という医学用語です。元のタイトルはダジャレになっています。英語で“rigor”は「厳密さ」という意味です。「厳密さが死んだ」という意味とかけています。

― 英語のダジャレを日本語に翻訳するのは非常に難しいです。

ハリス もちろん、そうでしょう。日本語のタイトルで『死後硬直』としても、なんの本かまったくわからないと思います。“Rigor Mortis”の前に思いついたタイトルは“Science Friction”(科学の摩擦)ですが、これはもちろん“Science Fiction”(空想科学小説/SF)をもじったものです。本書で指摘した問題が、科学の進展を遅くしているという意味です。きちんと取り組めば、その摩擦を減らすことができるという意図を込めています。

― さて本題に入りますが、本書の中で、生命科学研究が再現できない実験や早まった発見の公表など、問題だらけである多くのケースについて述べています。何かある特定のケースが契機となって、この本を書こうと決意したのでしょうか。

ハリス NPR(National Public Radio)の記者として報道していましたが、たまたまALS(筋萎縮性側索硬化症: 脳や末梢神経からの命令を筋肉に伝える運動ニューロン<運動神経細胞>が侵される病気で、難病のひとつに指定されている)を発症している人を取材しました。彼は薬の臨床試験に参加していましたが、その薬はまったく効きませんでした。実際のところ、今はALSを治せる薬はありません。寿命を数カ月延ばす効果のある数種類以外、この病気の治療ために試された何百という薬は、すべて効きませんでした。

 この研究をしているほかの研究者は、これだけ多くの失敗の理由は、治験に至る多くの基礎研究が不十分だからだと指摘していました。ALSの例で言うと、その研究のほとんどが数匹のマウスで実験して、見込みがあると判断したら治験を行っているようです。もし基礎研究を十分に行っていれば、薬が効く可能性がないことが事前にわかっていたはずだといいます。

 そのようなことをNPRで報道しているうちに、なぜ研究者はショートカットを取るのかと疑問に思い始め、執筆しようと決意しました。

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