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日産、1万人超削減、経営危機再び…ゴーン時代の“値引き依存”戦略で経営ボロボロ

文=河村靖史/ジャーナリスト
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日産、19年4-6月期連結決算発表 人員削減も公表(写真:AP/アフロ)

 

 カルロス・ゴーン元会長を完全に追放して心機一転したはずの日産自動車が揺らいでいる。ゴーン氏が日産の取締役を退任してから初の決算となった2019年4-6月期(第1四半期)業績は、営業利益が前年同期の1091億円から98.5%減となる16億円に大幅悪化した。これを受けて日産は生産能力削減や1万2500人を削減するなどのリストラ策を公表した。トップの座に執着する西川廣人社長の求心力は急速に低下している。

「足元では非常に厳しい収益状況になった」――。7月25日に横浜市のグローバル本社で行われた決算発表記者会見で、西川社長は大幅な業績悪化や追加のリストラ策を発表した。日産の4-6月期連結業績は、新車販売台数が同6.0%減の123万1000台と低迷した。販売費用増加や販売台数減少、新車の利益率悪化などの販売関連で605億円の減益影響があり、営業利益は16億円にまで落ち込んだ。

 日産の新車販売が低迷しているのは、ゴーン時代に推進してきた過去の無理な拡大戦略のツケが回ってきているためだ。そのひとつが新興国市場で展開してきた「ダットサン」ブランドの失敗だ。日産は、ゴーン氏が進める拡大戦略の重要施策として、インドネシアやブラジルなどの新興国で、低価格のダットサンブランドを展開してきた。しかし、ダットサン車の販売は低迷、新興国にある工場の稼働率が低下し、収益の足を引っ張っている。

 もうひとつが日産の世界販売の4割を占める北米事業の不振だ。日産は値引きに頼った販売や、レンタカーなどのフリート(大口)販売を拡大するなど、収益率は低いものの、販売台数は稼げる販売手法を続けてきた。しかも、無理な拡大戦略を繰り広げてきたせいで新型車の開発が遅れ、市場には古いモデルが継続的に販売されることになり、値引き額を増やして販売台数を稼ぐやり方が定着。しかも、こうした販売手法は利益率の低下に加えて、日産のブランド毀損も招いた。

 日産はゴーン氏を追放後、北米事業の再建に着手して在庫を圧縮するとともに、値引き額やフリート販売を抑制する方針に転換してきた。しかし、フリート販売や値引きを抑えた影響から19年4-6月期の北米の新車販売は同6.3%減と落ち込み、結果的に収益も悪化した。

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