「三菱自動車の軽自動車の“顔”を変えただけでしょ」
2013年の発売以来43万台を売り上げてきたとはいえ、日産自動車「デイズ」に対して、あまり感情が芽生えず、冒頭のような印象しかなかった。自社開発だけが理想ではないが、三菱自動車工業とのアライアンスでこしらえたデイズに日産の魂が注がれているとは思えず、ただ“利益稼ぎのクルマ”でしかないという冷めた見方をしていた。
だが、新型は日産製である。日産と三菱自の合弁会社であるNMKVのマネージメントだとはいえ、企画開発は日産が主導権を握った。それゆえ、新開発エンジンが搭載され、プラットフォームも日産流になった。これまでの“加速が鈍重で、ややうるさい”といった不満を一気に解消すべく、身も心も新しくなったのだ。
体制一新をうかがわせるのは、数々の安全技術が盛り込まれていることだ。それはカタログをペラペラとめくって見ただけでわかる。コストに敏感な軽自動車においては、カタログですら節約の跡がうかがえるものが一般的だが、デイズのそれは分厚い。「紹介したい項目がたくさんありすぎて、こんなに厚くなってしまいました」と言わんばかりである。
カタログをめくって1ページ目には「軽自動車初のプロパイロット」の文字が踊る。高速道路や渋滞路で、アクセル操作なしで先行車に追従してくれる。車線を逸脱しないように、ハンドルアシストもしてくれる。僕らが影で言うところの「追尾装置」である。
さらにページを進めていくと、「ヒルスタートアシスト」「ハイビームアシスト」「踏み間違い衝突防止アシスト」と続く。近年は、ブレーキとアクセルを踏み間違える事故が多発している。コンビニエンスストアやレストランには車止めがあるにもかかわらず、それを乗り越えて店に突っ込むのだから、慌てて止まろうとしてアクセルを全開にしてしまうというパターンだ。踏み間違い衝突防止アシストは、それを防止する救世主である。
「インテリジェントエマージェンシーブレーキ」は、前を走るクルマだけではなく、人も検知してブレーキ制御する。まずはブザーで注意喚起。その後にブレーキ制御で回避するというから、なんとも頼もしい。