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吉澤恵理「薬剤師の視点で社会を斬る」

日本人女性が殺到、韓国・美容整形で失敗する人続出…顔や鼻が崩れる、プロテーゼ露出

文=吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト
日本人女性が殺到、韓国・美容整形で失敗する人続出…顔や鼻が崩れる、プロテーゼ露出の画像1
「Getty Images」より

 美容大国である韓国のコスメは日本でも人気が高く、1泊2日の韓国弾丸コスメツアーなどに出かける日本人女性も多い。さらに近年、日本人女性は韓国で「美容観光」の上客となっている。美容観光は、一般にはあまり聞き慣れない言葉だが、韓国では日本人女性をターゲットにした多くの業者が存在する。そのひとつで、医療通訳として働いていた日本人男性のA氏は、異国の地で十分な説明も聞かずに整形手術を受ける日本人女性が多くいることに戸惑いを感じたという。

「医療通訳を始めて驚いたのが、日本から整形手術を受けにくる女性の多さです。骨を削ったりするような手術でも、説明はほんのわずかで不安な顔も見せずに手術を始める様子は、私のほうが不安を覚えました」(A氏)

 一番驚愕したのが、整形を繰り返す女性の姿だという。

「整形を繰り返したうえに、さらに整形を望む日本人女性がいました。医師は『もう、削れる骨も、顔に移動できる骨もない』と言っていましたが、それでも整形したいと言うんです。通訳をしながらも、こうなる前にしっかりとカウンセリングなどでケアできなかったのかと、異国で整形手術をする難しさを感じました」(同)

 美容観光が多く行われているのは、ソウル南部の江南(カンナム)である。韓国トップクラスの医師がクリニックを構えるといわれているが、最近では美容クリニックが増え激戦区となっている。その結果、医療技術の質の低下が懸念されている。

 その状況を裏付けるように、最近、韓国では美容整形に失敗する患者が後を絶たない。麹町皮ふ科・形成外科クリニックの苅部淳医師は、そういった整形に失敗した患者を数多く救ってきた。苅部医師は、韓国で安易な美容整形をする女性たちに警告する。

「韓国は、整形を普及させて世界中からメディカルツアーとして患者を集める目的で、国家の政策として後押ししてきました。世界の美容整形の統計によると、韓国国内で行われた美容整形は世界の25%と圧倒的な割合を占め、世界一だと発表されました。

 韓国には4000店舗ほど美容整形外科があるといわれていますが、そのなかでも特に多いのが江南地区で、“美容整形通り”と呼ばれる通りを中心に800店舗ほどあります。そうした都市部の地下鉄には、美容整形の広告が所狭しと掲載されています。街中でも、整形手術を受けた直後とみられる女性の、顔に包帯をしてマスクをし、帽子を目深にかぶった姿がよく見受けられます。

 また、韓国企業の人事担当者の34%は女性をルックスで優先採用しており、韓国人女性にとって整形は就職活動の一環ともいえるでしょう。しかし、中国メディアでも5、6年前から問題にされていますが、韓国で整形を受けたあとに、鼻が変形したり顔が崩れるなど、整形失敗の後遺症に苦しむ人が増えているようです。中国人の患者が少なくなってきたため、日本の若い女性をターゲットにして、メディアを使い呼び込んでいるのです。

“韓国整形美女”のように、整形して望んだ顔になれるのは少数で、整形に失敗して取り返しのつかない副作用や後遺症に苦しむ人が日本人でも相当数います。“安くて簡単で上手な整形”を受けられるというイメージで日本人の若い女性を取り込んでぼろ儲けしている韓国の美容外科クリニックですが、実際は悪徳なクリニックが多いのです」(苅部医師)

驚愕の失敗例

 そんな韓国での手術に失敗し、苅部医師のクリックに駆け込む女性が後を絶たないという。

【失敗例】
 韓国大手美容クリニックにてプロテーゼを挿入したが、2年半経過したころ、鼻の先端に発赤が認められて、受診した。すると、鼻の内部にプロテーゼが露出しているのが見つかり、即座に摘出術を行った。

日本人女性が殺到、韓国・美容整形で失敗する人続出…顔や鼻が崩れる、プロテーゼ露出の画像2

 失敗例を聞いただけでも身の毛もよだつ怖さだが、近年人気の“プチ整形”でもトラブルが相次ぐという。

「価格の安さに惹かれ、旅行ついでに気軽に整形手術を受ける女性が増えていますが、ヒアルロン酸は韓国製のものは非常に安いのですが、他国の製品と比べても持続時間が短く、異物反応が起きやすい傾向があります」(同)

 施術後、時間がたってからトラブルが出ることも多く、苅部医師への相談件数も増える一方だという。美容整形を受ける前に、安全性や術後にトラブルが起きた場合の対応なども含めて、十分に検討すべきだろう。
(文=吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト)

吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト

吉澤恵理/薬剤師、医療ジャーナリスト

1969年12月25日福島県生まれ。1992年東北薬科大学卒業。福島県立医科大学薬理学講座助手、福島県公立岩瀬病院薬剤部、医療法人寿会で病院勤務後、現在は薬物乱用防止の啓蒙活動、心の問題などにも取り組み、コラム執筆のほか、講演、セミナーなども行っている。

吉澤恵理公式ブログ

Instagram:@medical_journalist_erie

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