日産は財務悪化で研究開発費削減の一方、トヨタは過去最高水準の金額維持…深まる差の画像1
日産・リーフ AUTECH(「Wikipedia」より/DR17 Sagittarius Runaway)

 2020年3月期、日産自動車の最終損益は6,700億円を超える大幅赤字に陥った。同社は過剰生産能力を抱え、コロナウイルスの問題もありかなり厳しい状況に追い込まれている。ここへきて同社の債務は増加し、財務内容も悪化している。

 日産の経営が悪化した背景には、かなり根の深い問題がある。今から考えると、日産は自分の力で自分を変革することができなかったといえるだろう。1980年代以降、同社は経営がうまくいかなかった。その結果、カルロス・ゴーンという外部の人材を導入せざるを得なかった。ゴーンは強力なリーダーシップで改革を進め、業績は一時的に持ち直した。しかし、それでも日産には自己変革する能力を培うことができなかった。ゴーンは自己利益の確保に走ると同時に、世界的な拡張主義で日産の拡大を行った。ところが、ここへきて中国経済の減速やコロナショックの発生などによって、拡張主義が裏目に出た。

 今後、日産は一段と厳しい状況を迎えることになるだろう。ゴーンの問題以降、同社の経営はごたごた続きだ。身を削る改革を進めつつ、日産がルノー・三菱自動車とのソフトアライアンスのなかで独自性を発揮し、組織の士気を高めることは口でいうほど容易なことではない。

悪化する日産の収益力と財務内容

 2020年3月期、日産の連結決算は最終損益が6,712億円の赤字だった。赤字の額としては、元会長のカルロス・ゴーン被告が「日産リバイバルプラン」を進め始めた2000年3月期の6,843億円についで大きい。

 最終赤字の要因は大きく2つに分けられる。まず、日産の過剰生産能力が深刻化している。つまり、需要以上の自動車を生産する設備を抱えてしまっている。日産の年間生産能力は720万台だ。しかし、近年の年間生産台数はそれを下回ってきた。2017年度以降の生産台数は580万台、540万台と推移し、昨年度は460万台にまで落ち込んだ。

 その結果、固定費の負担が重くのしかかり、構造改革を進めて事業体制をスリム化せざるを得なくなった。日産はインドネシアとスペインのバルセロナにある工場を閉鎖し、グローバル生産能力を2割削減する。今回の決算ではその費用と減損損失として、6,030億円が計上された。

 それに加えて、新型コロナウイルスの発生によって自動車への需要が落ち込んだ影響もある。コロナショックは日産にとって約1,000億円の減益要因となった。本年1~3月期、中国における日産の販売台数は前年同期に比べ40%減少した。日米欧の主要市場でも日産の販売台数は低迷している。

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