リモートワークが当たり前になってきた、今日この頃。オンライン会議にも慣れてきたけど、仕事ができる環境がきちんと整っていないため、あまり仕事がはかどらない、効率が落ちている、と感じる人もいることでしょう。
そこで気になるのが、ビジネスホテルなどが行っている「リモートワークプラン」です。テレビや漫画にベッドなど、誘惑の多い自宅とは違い、仕事に集中できそうだけど、わざわざホテルに行って仕事をする価値はあるのかと悩んでいるのでは?
そこで今回は、在宅勤務に飽きてきて、サードプレイスを探そうと思っている人のために、「リッチモンドホテル 東京水道橋」が実施しているリモートワークプランを体験してきました。
4900円で最大10時間ステイ
リッチモンドホテルは、北海道から沖縄まで全国展開しているチェーンホテル。今回選んだ「東京水道橋」は、東京ドームのほど近くにあります。東京メトロ後楽園駅とJR水道橋駅のほぼ中間に位置し、建物の1・2階がドン・キホーテになっているので、初めての人でも迷う心配はありません。
今回利用したプラン名は「【テレワークに最適!8~23時、最大10時間ステイ】フレックスステイ10時間プラン」。料金は4900円(税込み)。8~23時の間で最大10時間ステイできます。
このプランは通常プランとは異なるテレワーク仕様になっていて、ベッドのない広々とした空間で、集中&リラックスして仕事ができます。また、日帰りプランなので、お風呂を利用しないという前提でバスタオルやバスマットは用意されていません。しかし、水道橋店では、チェックイン時に受付でバスタオルなどをレンタルできます。
4階のロビーで受付を済ませ、自動チェックイン端末で料金を支払い、指定された9階の部屋へ。窓が2面ある角部屋で、窓ガラスはすりガラスですが、明るさは十分です。シングルルームながらベッドがない分、広さが確保されているので開放感があります。
水道橋店のリモートワークプランでは、受付の際にプレゼントが配られます。煎茶パック、コーヒーのドリップバック、スティックシュガー、クリーミーパウダーなどの飲み物セットにアイマスク、それに1階のドン・キホーテで使えるペットボトルの交換券。集中して仕事をしようとする人にとっては、うれしいものばかりです。
備品としては、デスクライト、空気清浄機、冷蔵庫(水のペットボトル1本入り)、電気ケトル、プレゼントと同様の飲み物セットが置いてあります。肝心のデスクはというと、棚と一体になっていて、パソコンのほかに書類を広げる余裕もあります。
実際に、ノマドワークをするときに使っている13.3型ワイドのノートパソコンを置いてみました。まだまだ荷物を広げられます。ノートPCやタブレットをもう1台置くことも可能。飲み物やスマートフォンは棚の上に置けば、目に入らなくなるのもうれしいですね。
デスクまわりには、メモ用紙とボールペン、PCやスマホなどの充電ができるマルチUSBケーブル、有線LANケーブルにクロネコヤマトの送付状まで揃っています。
ちなみに、プリントアウトとFAXをするときはロビーへ行きます。データをUSBに入れて、受付の後ろにあるパソコンを使ってプリンターで出力します。プリントアウトをするときは、白黒・カラーとも10枚目までは無料で、11枚目からは1枚につき10円が必要です。FAXは、FAX番号と用紙を受付に持って行き、お願いします。FAX代は1件(1送信)につき50円です。
自宅の比じゃない快適さ
午前中は、急きょ電話取材が入ったために、何本か電話をしているうちに12時を過ぎていました。自宅よりも静かで、背景が気になることもないので、せっかくならオンライン取材にした方がよかったなと後悔も……。
肝心の仕事のしやすさは、間違いなく自宅とは比べものにならないくらい快適でした。自宅のデスクは、左右に書類や本、筆記用具などの小物を置いていて、それが当たり前だと思っていました。しかし、目の前にパソコンしかないと、それだけしか目に入らないため、他のものに目が行くことがなく、気が散ることもありません。
すりガラスになっているのもよかった点です。太陽のような直接的な明るさは目が疲れてしまいますが、すりガラスだと、どんな晴天でも太陽のまぶしさを抑えて、目にやさしい明るさに変えてくれます。
部屋に入った瞬間は、窓から東京ドームが見られないことに、少しさびしさもありましたが、そういったランドマークや外の風景は集中力を途切れさせるだけで、誘惑に弱いタイプは、外が見えると外出したい欲がウズウズします。外の景色がどうなっているかは、仕事をする上では必要ないことがわかりました。
東京のど真ん中の水道橋ということで、ランチにも困りませんでした。ホテルの1・2階にはドン・キホーテが、近くにはコンビニが数件あるので、仕事をしながら食事をとりたい人は、これらのお店で買い込んでくるのもいいでしょう。
もちろん、飲食店も豊富です。ホテルの3階にはサイゼリヤが入っている上に、周辺には和洋中のお店がズラリと並んでいます。
「お腹がいっぱいになると眠くなる」という人は、食後に散歩をするのもオススメです。ホテルの近くにはいくつかの神社があります。今回は、5分ほど歩いた場所にある金刀比羅宮の東京分社を回りました。
散歩をしてリフレッシュしてから臨んだ午後の仕事は、午前中とは比べようがないくらいに進みました。誘惑がひとつもないので、仕事が途切れることなくサクサクと次に行きます。
このときの状況は、遅くまで職場に残って残業しているときに似ているなと思いました。広いオフィスに残っている人は数えるほどで、仕事仲間から声をかけられることはない。昼間は聞こえる雑音もなく、よけいなことを考えずに早く目標まで終わらせようと、無心で仕事に打ち込める。まさに、そんな感じです。
自宅だとスマホやテレビなどの誘惑があって、予定通りに仕事が進まず(自業自得なのに)、それをストレスに感じることがあるのですが、ホテルだとこれらの誘惑がなく、自然と仕事に没頭できるので、終わったときは達成感すら感じました。
今回のリモートワークプランは最大10時間で4900円(税込み)なので、フルで利用した場合、1時間当たり490円になります。ストレスなく、むしろ仕事に集中できて達成感まで味わえる。自宅のデスクに向かいながらダラダラと何時間も過ごすのなら、スポット的にホテルのリモートワークプランを利用するのもアリだと思いました。
「10時間は長すぎる」という人向けに、3時間(2900円)、6時間(3900円)のプランもあります。スケジュールに合わせて選べるのもうれしいですね。
「どうにも自宅だと仕事がはかどらない」「たまには気分転換をしたい」と悩んでいる人は、一度、近くにあるビジネスホテルのリモートワークプランを利用してみるのもいいかもしれません。
(文=安倍川モチ子/フリーライター)