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会計も帰宅も不要の「Zoom飲み」が急増…今さら聞けないZoomの使い方&セキュリティ

文=丸田一代/ライター
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Zoomミーティング – Zoom」より

 人の力は偉大だと思う。新型コロナウイルス感染拡大の影響でリモートワークが急増する中、「オンライン会議」の需要が急増している。

 オンライン会議とは「異なる場所にいながら、モニターを通じて同じ時間を共有できる会議」を指す。オンライン会議はビデオ会議とも呼ばれ、「テレビ会議」「ウェブ会議」が含まれる。

 たとえば、テレビ会議はネットワーク環境が安定しており、医療現場や工事現場、国際会議など「大規模な集まり」に向いている。対して、ウェブ会議はチーム内のメンバーミーティングや取引先との商談などに活用されている。

 要はモニターにカメラやマイク、専用の通信機器をつないで会議室と会議室、あるいは個人間を接続するものだ。

ユーザー数が2億人に急増したZoom

 その種類はさまざまだが、なかでもアメリカ発のクラウド型ビデオ会議システム「Zoomズーム)」は、2019年12月に1000万人だったユーザー数が今年3月には2億人と急増している。新型コロナウイルス感染拡大を防ぐために、各国でロックダウンやリモートワークが行われるようになった影響によるものだ。

 利用者増に伴い、セキュリティ問題も浮上している。私がZoom を使い始めたのは18年の終わり頃。作家の友人から「無料のシステムだし、画面共有ができるし、簡単だから」と教えてもらった。

 当時と比べると、今はミーティングで利用する際にパスワードを入力する必要が出てきた。パスワードも当初は数字のみだったのが、最近は英語や数字、大文字・小文字などを織り交ぜたものに強化されている。

 Zoomの創設者である中国出身のエリック・ヤンCEOはセキュリティ諮問委員会を設置し、フェイスブックで最高セキュリティ責任者を務めたアレックス・ステイモス氏を外部セキュリティコンサルタントとして迎えている。今後、セキュリティ強化に本腰を入れる方針であることがわかる。

今さら聞けないZoomの利用法

 Zoomを利用したことがない人のために、簡単に機能と使い方を紹介しよう。

 最大の特徴は、無料でパソコンやスマートフォンを使って最大100人まで(有料の場合は1000人)参加可能な会議やセミナーなどをオンラインで開催できることだ。

 それぞれの顔を見ながら会話ができ、画像や音声のオン・オフは選択できるようになっている。会議時間は40分が上限だが、有料プランもあるので状況により選択することができる。主催者も参加者も、アプリケーションをインストールして無料登録をすれば利用が可能だ。

 会議やセミナーを開催する際はZoom を立ち上げ、画面上の新規ミーティングボタンをクリックし、招待URLを参加者に送るだけでいい。参加者がURLをクリックすると、自動で会議に参加できる仕組みだ。欠席者のために1クリックでできる録画機能や、少人数に分かれて話し合う場が必要なグループワーク機能、チャット機能もついており、画面共有ができるのも画期的だ。

研修や入社説明会、採用面接に活用する企業も

 利用者が急増しているZoomだが、「いったい、どんな目的で使っているのだろう」という疑問も湧いてくる。

 多いのが、やはりビジネスでの会議だ。「3密」を防ぐためにリモートワークを余儀なくされたビジネスパーソンが、それぞれの自宅で活用しているケースはよく聞く。

 また、各種講座でも活用されている。通いが困難となった講師が、リアル講座からオンライン講座へと移行させているのだ。講師が各企業へ出向いていた研修も、対面からオンライン研修へと形を変えている。ほかにも、入社説明会や採用面接などに活用している企業もあり、それぞれの環境に応じた使い方のアイデアが生まれている。

 東京電機大学では入学式の中止に伴い、理事長や学長から新入生に贈るメッセージをZoomを利用してライブ配信をした。

 また、臨時休校の長期化に伴い、4月7日に開かれた政府の臨時閣議では、23年度を目標としていた児童生徒1人1台のPC端末整備について20年度内の完了を目指すことを決定した。この動きは、教育現場のオンライン化を加速させるだろう。

 さらには、外出自粛で稼ぎの場を失った水商売の女性を救済する目的での「オンラインキャバクラ」も立ち上がっている。

ランチや飲み会、趣味系サークルも新たな形に

 また、趣味でZoomを活用している人も増え始めた。私も、あるオンライン会議が終了した後に「時間があるなら、このままオンラインでランチ会をしてみよう」という流れになったことがある。参加者それぞれがパソコンの前にランチを持ち寄り、食事をしながら会話を楽しむのだ。以前であれば、恥ずかしさからテレビ電話でさえ受け入れ難かったが、人の適応力とは素晴らしい。外出自粛という状況が、この環境をうれしいという気持ちに変換させてくれた。

 ランチを取りながら、お互いにメニューの紹介をしたり、レシピの会話になったり。また、所用を足しに行くなど自由に部屋を行き来もできる。

 ランチ会と同様に、夜の飲み会も行われている。それぞれが自宅なので会計はもちろん、帰宅する必要もない。酒に酔っても、すぐ寝られるのがメリットだという。

 ほかにも、参加者と楽譜を共有して一緒に演奏するイベントや、ゴスペルを一緒に歌うなど音楽系のイベント、競馬の楽しみ方をクイズ形式で学ぶという企画もある。豊洲市場などで余った野菜はZoomを使って実演販売し、調理方法や直接の値段交渉などができたら、フードロスも防げるのではないかと思う。

 このようなオンラインでできる学びや遊びを日付で探せたら便利だという思いからできたサービスもある。「オンライン学び・遊びスケジュールまとめ」がそれだ。

 多くの人は特技を持っている。個々のスキルや楽しみを提供し合うことでスキルの交換や共有の範囲が広がり、仲間を増やしていくのだ。

 新しいものを受け入れるのは容易ではない。しかし、時代は刻一刻と「受け入れざるを得ない」方向へシフトしている。年配の方がスマートフォンを利用できるようになったように、人は存在し続けるために、時代の変化に対応できるようになっているのだと信じている。

 環境に応じて新たな方法や手段を捻出する能力は、生きるという目的を達成するための術である。人が持つパワーとエネルギーを結集させ、おもしろさを味わうことで、コロナに打ち勝ちたいと思っている。
(文=丸田一代/ライター)

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