
徳島県内に唯一残っていた百貨店、そごう徳島店(徳島市)が8月31日、約37年の歴史に幕を下ろした。徳島県は百貨店ゼロ県になった。
今年1月、大沼(山形市)が自己破産を申請し、初の百貨店ゼロ県になったのが山形県。徳島県が2番手となった。そごう徳島店は1983年10月、徳島駅前市街地再開発事業で建設されたアミコビルの核テナントとして開業。オープン当時は四国最大の売り場面積(約2万7000平方メートル)を誇る百貨店だった。93年2月期には売上高444億円を記録した。これがピークである。
98年の明石海峡大橋開通によって、徳島から関西圏へ顧客が流出。郊外型ショッピングセンターとの競合やEC(電子商取引)の普及といった消費行動の変化が追い打ちをかけた。売り場を縮小するなどリストラを進めてきたが、売り上げの減少に歯止めがかからず、20年2月期の売上高は124億円。ピークから72%減の水準にまで落ち込んだ。
親会社のセブン&アイホールディングスは昨年10月、リストラの一環として、百貨店を運営するそごう・西武の5店舗を閉鎖する方針を打ち出した。そごう徳島店、そごう西神店(神戸市)、西武大津店(大津市)、西武岡﨑店(愛知県岡崎市)は8月末に閉鎖。そごう川口店(埼玉県川口市)は21年2月末にクローズする。
三越伊勢丹ホールディングス傘下の新潟三越(新潟市)は3月に閉店した。8月には井筒屋黒崎店(北九州市)、中合福島店(福島市)が店を閉めた。さいか屋横須賀店(神奈川県横須賀市)は21年2月、J.フロントリテイリングの松坂屋豊田店(愛知県豊田市)は21年9月に閉鎖の予定だ。
全国百貨店の年間売上高が4兆円を割る日
日本百貨店協会によると、2019年の全国百貨店売上高(全店ベース)は18年比2.2%減の5兆7547億円。6年連続のマイナスだった。ピークだった1991年(9兆7130億円)の約6割に落ち込んだ。19年末の全国の店舗数は208店。10年前の09年(271店)から2割減った。
インバウンド(訪日外国人)消費が業績を下支えしてきた。19年の免税売上高は2%増の3461億円。3年連続で過去最高を更新した。訪日客に人気の高い化粧品は通年で2.6%増と健闘した。20年に入ると、新型コロナウイルスの拡大が業績を痛打した。8月の全国百貨店売上高(同)は3231億円。既存店ベースでは前年同月比22.0%減と11カ月連続で前年実績を下回った。訪日客向けの免税売上高は86.1%減の35億円。入国制限が続き客数は97.0%減と激減した。