ノジマやパソナも…企業や自治体、JAL・ANA社員出向受け入れの“特別待遇”の理由の画像1
日本航空「ボーイング787-8」(「Wikipedia」より)

自治体、ANAの出向社員を受け入れ

 経営が厳しいANAグループの社員を受け入れる自治体が相次いでいる。全日本空輸(ANA)を支援することで、地元空港の航空路線を維持する狙いがある。

 佐賀県は10人程度受け入れる。40歳以下の社員で期間は2年。県が人件費の一部を負担するかたちで、11月の補正予算案に1075万円を盛り込んだ。すでに客室乗務員1人を迎え入れている。出向の受け入れは山口祥義知事と片野坂真哉ANAホールディングス(HD)社長の会談で決まった。片野坂社長は「観光の魅力発信で客室乗務員の接遇の力が役に立てると思う」と具体的な働き方に言及した。

 山口知事は支援の理由としてANAHDとの「絆」を強調した。1998年に開港した九州佐賀国際空港(佐賀市)は後発の空港だったため、利用者が少なく10年以上低迷した。大阪便や名古屋便が次々と撤退するなか、ANAは東京便を維持した。「佐賀県はこれまで全日空さんと連携してきた。苦しい時は支えたい」(山口知事)という思いから出向を受け入れたという。

 鳥取県は県庁で社員数人を受け入れる。交通政策や観光を担当する部署で働いてもらう。県が給料の一部を負担する。ANAHD社員の鳥取県内の企業への出向を橋渡しする。県内の26社が受け入れを検討しており、このうち17社はホテルや旅館など観光サービス業だ。

 鳥取県は20年8月から21年2月まで、ANA便の鳥取空港への着陸料を45%減免することも決めた。新型コロナが拡大する前から実施している支援と合わせると、実質86%の減免となる。県は11月補正予算案に追加減免分の670万円を計上した。石川県、三重県、沖縄県浦添市も受け入れ人数や時期を調整している。

 コロナ禍で羽田空港と県内空港を結ぶANA便が減っている。便数のコロナ前への復活は県経済の浮沈のカギを握る。出向社員を受け入れるのは、ANAが運航する羽田便を維持するのが目的だ。

グループ外へ社員400人以上を出向させる

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、業績不振企業から、人手の足りない企業が出向者を受け入れる「従業員シェア」が本格化してきた。

 家電量販店のノジマは2021年春までにANAHDや日本航空(JAL)から300人を受け入れる。11月中旬から始めており、約1週間の研修を経て販売部門やコールセンターの業務に従事している。東横イン(非上場、東京・大田区)も最大300人の社員を受け入れる。

 KDDIもANAHDやJALの社員の出向を受け入れる。パソナグループも航空や旅行、ホテル業界からの出向者を募集する。需要次第で1000人近くまで増える可能性もある。

 旅客数の回復を見込めないことから、ANAHDの2021年3月期連結決算は5100億円の赤字。一方、JALは最大2700億円の赤字になる見通し。JALでは10月時点で約500人の社員がグループ外へ出向している。ANAHDは10月に公表した構造改革で、社員の副業の拡大や外部企業・自治体などへの出向を進めることを決めた。21年春にはグループ外へ400人以上を出向させる。

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