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創業1年でNASAと協業…専門知識ゼロで日本初の「宇宙商社」を設立したベンチャー企業

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※画像はイメージ(新刊JPより)。

 小惑星探査機「はやぶさ2」の帰還や、宇宙飛行士・野口聡一さんの国際宇宙ステーション(ISS)搭乗などで、宇宙に注目が集まっています。

 無限の宇宙はロマンあふれるフィールドであると同時に、一般の人々にとって分かりづらく、ハードルが高いイメージもあります。そんな宇宙という分野に、専門的知識も何もないまま徒手空拳で飛び込んだ一人のベンチャー社長がいます。

 Space BD株式会社の代表取締役社長・永崎将利さん。その半生を描いた自伝的ビジネス小説『小さな宇宙ベンチャーが起こしたキセキ』(アスコム刊)には、永崎さんの無謀で刺激的な冒険がつづられています。

 永崎さんのこれまでの歩みは、波乱万丈そのものです。

 Space BDは日本初の「宇宙商社」です。宇宙ビジネスはこれまで、衛星やロケットの制作を手がける技術系の企業がほとんどでした。そこに、衛星のデータ活用といった民間のニーズをくみ上げて宇宙利用を促進する「商社」という新しい概念を、小さなベンチャーの社長にすぎなかった永崎さんが自ら作り上げ、その第一人者となったのです。

 アメリカの宇宙開発企業「スペースX」の創業者、イーロン・マスクの日本版と言えるかもしれません。その凄さを、本書からピックアップしてみましょう。

ココが凄い1:「宇宙のど素人」が宇宙ビジネスに進出

 「ロケットやりませんか」。2017年、社員わずか3人のベンチャー企業だった永崎さんの会社に宇宙ビジネスの話が持ち込まれた時、映画「スターウォーズ」シリーズすら見たことがない宇宙オンチだった永崎さんは、躊躇します。

 しかし、自分の人生を賭けて挑めるフィールドを探して「一旗あげたい」と悶々としていた永崎さんは、無茶を承知で、70兆円市場とも言われた宇宙ビジネスに参入する決意をするのです。

ココが凄い2:誰もやったことがない仕事を作り出す

 前述したように、宇宙商社は日本初の会社。宇宙工学の専門家があまたひしめく世界で、今さら衛星やロケットを作ろうとしても頭一つ抜け出すのは困難です。

 しかし、いくら優れた技術があっても利用する人がいなければ、ビジネスは成立しません。政府や研究機関といった「官需」から、「民需」を掘り起こしてパイを大きくすることが求められている時代の流れに永崎さんは目をつけ、「宇宙商社」を設立しました。

ココが凄い3:大物ビジネスパーソンを味方につける魅力


 わずか数名のベンチャーだった永崎さんの会社はヒト、モノ、カネが全部ありません。

 そんななか、資金面でのバックアップをしてくれたのは、大手紳士服メーカーのカリスマ創業者。また、宇宙ビジネスの話を永崎さんに持ち込んだのは著名な投資家でした。いずれも永崎さんの熱意と人間性にほれ込んでのことです。また、国内外を飛び回り、宇宙関係の様々な人々と出会ううちに、アメリカやスペインの宇宙ビジネスの要人を味方につけていきます。

ココが凄い4:創業1年でNASAやJAXAと協業

 創業1年ほどたった時に、ビッグチャンスが舞い込みます。JAXAがISSの日本実験棟である「きぼう」から船外に超小型衛星を放出する民間事業者を公募で選定すると発表したのです。Space BDも手を上げますが、ライバルには日本を代表する大手商社などが名乗りを上げます。

 しかし、綿密な準備の末に臨んだプレゼンで、見事に事業者として選ばれました。また、同時期にNASAの地球低軌道商業化スタディにも参入することが決定。がむしゃらに走り続けた結果が実を結んだのです。

 ◇

 もしかしたら、「もともと、能力のある人だからできた」と思うかもしれません。しかし、実際は違います。新卒で入社した会社を30代前半の若さで退職後、様々なビジネスを手がけるものの上手くいかず、1DKのマンションの天井を眺めながら悶々とする日々を過ごしていたなかで、たまたま話がきた宇宙ビジネスに人生のすべてを賭けたのです。

私たちと同じ、等身大の「悩める若者」がどのように新たな道を切り開いていくのか。傷 つきながらも一歩ずつ夢に向かって歩むその姿は、読む人の胸を熱くし、勇気づけることでしょう。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。

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