“ガラパゴス企業”化した「富士通」の苦境…再建に成功した「ノキア」との決定的違いの画像1
富士通本社がある汐留シティセンター(「Wikipedia」より)

 国内IT・通信機器大手の富士通が、5G通信分野におけるNTT・NECとの連携をはじめ、他企業との提携などに“オープン”な姿勢をとり始めた。それは富士通が、「オープン・イノベーション」を重視し始めたことを示す。ある意味、それは自前主義による業績拡大は難しくなったという経営陣の危機感の表れといえる。

 その背景の一つとして、富士通が国内の需要を重視するあまり、“ガラパゴス化”から抜け出すことが難しい時期が続いたことがある。それに加えて、同社は世界の半導体産業における設計・開発と、生産の分離という変化にも対応することが難しかった。その上にコロナショックが発生し、同社を取り巻く事業環境は一段と厳しくなっている。

 今後、富士通に求められることは、経営陣が世界経済の変化を冷静に理解し、組織全体での変化への対応力を高めて社会から必要とされるモノやサービスを生み出すことだ。そのために、オープン・イノベーションの重要性はさらに高まる。同じことは富士通にとどまらず、わが国の多くの企業にも当てはまるはずだ。コロナショックによってIT関連技術の重要性が一段と明確になった状況は、日本企業に残された数少ないチャンスだ。

国内IT企業がたどったガラパゴス化

 近年、富士通の収益は減少傾向にある。それが意味することは、同社が社会から必要とされるモノやサービスを生み出すことが難しくなっていることだ。

 背景の一つとして注目したいのが、携帯電話事業などのガラパゴス化だ。ガラパゴス化とは、国内(限られた範囲の市場)では通用するが、機能や価格面での競争力を中心に世界各国の市場では通用せず、最終的に淘汰される恐れが高まることをいう。

 富士通の携帯電話事業がガラパゴス化に陥った一因として、日本の人口規模がある。日本には約1億2000万人が生活している。つまり、各企業は国内の事業によってそれなりの収益を獲得することができる。それは、国内市場があるからなんとかなるという意味での内向きの志向、あるいは現状維持を正当化する根拠を、富士通をはじめとする国内企業に与えた。

 その考え方に基づいて、大手の電気通信事業者(通信キャリア)は、国内での事業を重視して、各メーカーに機器の開発を求めた。良い例が1999年に開始されたNTTドコモ(以下、NTT)の携帯電話インターネット接続サービスである「iモード」だ。NTTは富士通をはじめ各社にiモードに対応した機種開発を求めた。iモードのヒットは各企業に成功体験を与え、新しい取り組みを進める意識は低下したといえる。その結果、日本の通信・携帯電話市場は、ある意味で世界の市場から隔絶され、世界規模でのIT化に乗り遅れた。その結果、富士通は海外事業を強化する必要性を認識しつつも、国内事業を重視し続け、変化への対応が遅れた。

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