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「相馬勝の国際情勢インテリジェンス」

北朝鮮、韓国のテレビ等を視聴すれば死刑も…停電・寒波・食糧不足、政府高官の亡命続出

取材・文=相馬勝/ジャーナリスト
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「Getty images」より

 北朝鮮では昨年1月以来、新型コロナウイルスを警戒して国境封鎖を継続しており、中国頼みの輸入が激減、例年になく厳しいシベリアからの寒波が襲うなか、石油や石炭など深刻なエネルギー不足による停電が頻繁に起き、市民は暖房もないなかで寒さに震えている状況だ。しかも、食糧不足も深刻で、農村部では餓死者も出ていると伝えられている。

 このようななかで、北朝鮮では特権階級に属する海外駐在の外交官も、本国からの外貨稼ぎの厳しいノルマにあえいでおり、生命の危険を冒してまで、家族ぐるみで亡命を決行する動きも出ている。また、一般市民の間でも、金正恩指導部に見切りをつけ、中国を経由して脱北する人々が後を絶たない。

 市民の脱北や一斉蜂起に警戒を強める朝鮮労働党指導部は昨年末、韓国などの映像や動画などを視聴した場合、軽くても強制労働10年、最高で終身刑や死刑を課すとの条文を盛り込んだ「反動思想文化排撃法」を採択しており、金正恩独裁体制に逆らう人々に対して極刑で臨む姿勢を改めて打ち出している。

大使の亡命相次ぐ

 北朝鮮では厳冬期はシベリアからの寒気団の襲来により、水力発電所は凍り付いて機能しなくなり、火力発電所は燃料の石炭が不足しており、電力供給は滞りがちだ。首都・平壌でも1日に何度も停電が起こっているほどだ。これが地方だと、1日に1時間しか電気が使えないこともあるという。衛星写真で北朝鮮の状況を見ると、夜は完全に真っ暗で電気が通っていないことがわかる。

 米中央情報局(CIA)が発行する世界各国の現状を記した「ファクトブック」(2019年版)によると、電力を日常的に使えるのは北朝鮮の全人口の26%だけだ。つまり全人口の2560万人のうち約1900万人が電力を使えない状況に置かれている。電力を供給されているのは都市部全体の36%、農村部では11%にすぎないことになる。

 しかし、各都市の中心部にある金日成主席と金正日総書記の巨大な銅像は一晩中、明るすぎるくらいの照明により煌々と照らし出されている。ある市民は米政府系報道機関「ラジオ・フリー・アジア(RFA)」の電話取材に応じて、「庶民は寒さや空腹に耐え、生きるのが精いっぱいなのに、すでに亡くなっている指導者の銅像に貴重な電力を惜しげもなく使っている。生きている人間よりも死んだ指導者のほうが大事なのか」などと不満を募らせているという。

 海外に駐在する外交官は北朝鮮では特権階級だが、それでも彼らなりに不満が高まっている。韓国各紙によると、北朝鮮の駐クウェート大使代理だった外交官の男性が2019年9月に韓国に亡命、妻子も同行しており、男性は「親として、子どもにより良い未来を与えたくて脱北を決心した」と話したという。この男性は17年当時、参事官だったが、国連安全保障理事会の制裁決議に伴い当時の大使がクウェートから追放された後、大使代理を務めており、最高指導者のための秘密資金を獲得・管理する朝鮮労働党39号室の室長を務めた全日春(チョンイルチュン)氏の娘婿だという。

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