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大崎孝徳「なにが正しいのやら?」

資生堂、なぜ「TSUBAKI」や「uno」を売却?プロ経営者の容赦ないリストラ策

文=大﨑孝徳/神奈川大学経営学部国際経営学科教授
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資生堂 TSUBAKI CM(「資生堂」YouTubeチャンネルより)

 2月4日付日本経済新聞に、2つの企業のリストラに関する記事が載っていた。ひとつはアパレル大手のワールドで、もうひとつは資生堂だった。

 ワールドのリストラはコロナ禍による経営悪化のためで、7ブランドの廃止、450店の閉鎖、100人の希望退職の募集などを行う内容になっている。つまり、業績悪化に伴う事業縮小という、よくあるパターンのリストラといえる。

 一方、資生堂のリストラは、「TSUBAKI」や「uno」といった比較的競争力の高いブランドを含む日用品事業を、外資系投資ファンドのCVCキャピタル・パートナーズに1600億円で売却し、高価格帯の化粧品に注力していくという内容である。

 驚くべきことに、今回売却する日用品事業は赤字事業ではなく、売上高営業利益率5~10%程度であるにもかかわらず、縮小する国内市場を主たる対象としているため、今後の成長が見込めないという理由による。一方、高価格帯の化粧品に関しては中国市場をはじめ、拡大する海外市場で大いなる成長を目指していくとのこと。まさに大胆な選択と集中が行われようとしているわけである。

TSUBAKIの成功

 今回売却されることになったTSUBAKIは2006年に発売され、SMAPのテーマ曲が流れるなか、何人もの大物女優が登場するCMを覚えている人も多いのではないだろうか。当時、業界関係者も驚くほどの莫大な広告費が投入され、その後、シェア1位を獲得し、資生堂に大きな富をもたらした。unoも同様のパターンで強いブランドを構築することに成功した。では、なぜ資生堂において、これほどまでに大きな広告費を投入することが可能であったのか。

 資生堂は日本初の洋風調剤薬局として誕生し、その後、化粧品業界に進出した。1923年にはチェーンストア制度を採用し、美容部員制度や顧客を組織化した“花椿会”などを整備し、事業を拡大させてきた。

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