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IHI、三菱重工、日本製鉄…日本の重厚長大型企業のCO2削減技術、世界で重要度高まる

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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IHIのサイトより

 最近、世界各国が、より持続的な経済成長を目指して“グリーン・リカバリー政策(環境関連の投資によって環境問題の解決と経済成長を目指す政策)”を重視している。そうした政策は、ある意味、IHI(旧石川島播磨重工業)など日本の重厚長大型の企業が、循環型の社会・経済運営を支えるインフラ企業への変身を目指す好機だ。

 特に注目したいのが、二酸化炭素(CO2)を回収し、資源として活用するための技術だ。CO2を回収するだけでなく、エネルギー源などとして活用することが増えれば、環境への負荷は軽減される。それは、カーボン・ニュートラルの実現に不可欠な要素だ。

 CO2の活用技術の多くは、実証段階にある。より効率的なCO2の排出削減、回収や有効利用は世界各国が重視し始めた水素利用にも欠かせない。脱炭素(CO2の排出削減、回収、貯留、利用)を支える技術開発の加速は、IHIなどがより安定した収益基盤を確保し、さらなる成長を目指すことに寄与するだろう。

世界的に注目高まるグリーン・リカバリー政策

 各国政府が重視するグリーン・リカバリー政策のポイントは、水素など“カーボン・フリー”なエネルギーの利用を支えるインフラ投資などを行い、雇用を創出して資源が循環する、より持続性の高い社会と経済の運営を目指すことにある。そのために、水素の生成過程などで排出されるCO2の回収と利用を支える技術への注目が急速に高まっている。

 忘れてはならない点は、特定のエネルギー資源やモノの生産段階だけでなく、世界のサプライチェーンを包摂した観点でCO2排出を削減することだ。例えば、石油や石炭と比較した場合、天然ガスは燃焼時のCO2排出量は少ない。それに加えて、液化天然ガス(LNG)の生産、運搬などサプライチェーン全体でのCO2削減が欠かせない。エネルギー源を輸入に頼る日本にとって世界のサプライチェーン全体の視点からカーボン・ニュートラルの実現を支える技術を開発して実用化することは喫緊の課題と化している。

 2021年の年初来の株価の推移を確認すると、IHIなど日本の重電関連や鉄鋼関連などの株価は上昇基調だ。世界的なカネ余り(低金利環境)の継続とワクチン接種による世界経済正常化への観測に加えて、IHIなどが脱炭素関連の技術開発を進めていることが、中長期的な成長への期待を高めている。見方を変えれば、各国がグリーン・リカバリーへの取り組みを強化する状況下、日本の重厚長大型企業が環境関連技術の開発を加速し、収益力を強化する展開を想定する投資家は増えつつある。

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