マイクロプラスチック、最新研究で深刻さ判明…空気中に浮遊、難燃剤は脳神経に悪影響の画像1
「Getty images」より

 3月9日、「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律案」が閣議決定され、国会に提出された。事前の報道で、政府はマイクロプラスチック対策としてコンビニなどで提供されるプラスチック製スプーンを有料化すると伝えられていたが、この施策でマイクロプラスチック問題が解決するのかを疑問視する向きも強かった。

 もちろん、マイクロプラスチック対策のためにプラスチックの資源循環を強め、環境中への排出を極力減らすことは大切である。だが、マイクロプラスチックを取り巻く事態は、最近の科学的知見によってその深刻さが明らかになっており、より一層の対策が必要な段階といえる。

ナノプラスチック、人体から排出されず

 第1に、プラスチックによる海洋の生態系汚染が魚介類へ与える影響が明らかになった。磯部篤彦九州大学教授の研究によると、5ミリ以下のマイクロプラスチックを魚や貝が誤飲することにより十分成長できず、繁殖に影響を与えることが明らかになった。実験によると、1000mg/立方mのマイクロプラスチックで魚介類の成長に影響を与える。それの量を上回る海域は日本周辺と太平洋上に存在する。このような海域は、2050年には3.2倍になるとされている。魚介類が生育できなくなり海洋生物が減ると、海鳥や海洋哺乳類も減り、人類に影響を与えることになる。

 第2に、マイクロプラスチックの人への影響が明らかになった。これまでマイクロプラスチックは人体に入っても排泄されるから問題ないとされてきたが、高田秀重農工大教授の研究では、深刻な影響がありうることがわかった。紫外線吸収剤や難燃剤などの添加剤がプラスチックに含まれており、マイクロプラスチックはトロイの木馬のように人体内に添加剤を運ぶ。

 添加剤は食物連鎖で濃縮される。小型甲殻類のアミにマイクロプラスチックを与え、そのアミをカジカに与える。そのカジカの身を分析すると、全サンプルから難燃剤や紫外線吸収剤が検出された。直接マイクロプラスチックをカジカに与えた場合と比較すると、アミから摂取したほうが10倍蓄積することがわかった。このように添加剤は食物連鎖で濃縮され、魚の身にたまる。

 難燃剤は、2010年から段階的に使用禁止になっている。それは脳神経の発達に影響を与えるからである。母乳に含まれる難燃剤は、子供の知能指数を低くするとの研究もある。いくら禁止されてもマイクロプラスチックからこの難燃剤が人体に取り込まれることになる。

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