ホンダ、トヨタに反旗翻す…日本の自動車業界を“トヨタ傘下”扱いする豊田社長への不満の画像1
本田技術研究所本社(「Wikipedia」より/ウェルワィ)

 ホンダの社長に就任した三部敏宏氏が4月23日に社長就任記者会見で、2040年にグローバルで販売するすべての新車を電気自動車(EV)と燃料電池車(FCV)にする目標を発表したことが波紋を広げている。前日に日本自動車工業会(自工会)の豊田章男会長(トヨタ自動車社長)が記者会見で「カーボンニュートラルの本質を正しく理解して対応することが必要」と述べ、世界的に進むEVシフトの流れに疑問の声をあげていたためだ。

 日本の自動車産業はトヨタグループの傘の下にあるような振る舞いを続ける豊田社長に忸怩たる思いを抱いていた業界関係者は、ホンダの発表に溜飲を下げたかっこうだ。

 ホンダは前任社長の八郷隆弘氏が、2030年までにホンダが販売する車両の3分の2を電動車両にする計画を公表していた。電動車両は、日本市場でシェアの高いハイブリッドカー(HV)や、プラグインハイブリッドカー(PHV)といった内燃機関を搭載したクルマを含んでいる。ホンダは今回、一歩踏み込んで、40年に内燃機関を搭載したクルマの販売から撤退し、「タンク・トゥ・ホイール(走行中)」の観点から二酸化炭素(CO2)排出量がゼロのEVとFCVに絞り込むことを決めた。

EV一辺倒に対する焦り

 グローバルで2050年までにCO2排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラル社会の実現を目指す宣言が世界で相次いで打ち出され、自動車業界もその対応に追われている。欧州の一部や米国の州の一部では、将来的にガソリン車とディーゼル車の販売を禁止する政策が打ち出されている。ホンダでは自動車が10年程度使用されることを想定、40年からはゼロエミッション車しか販売しないことにして、50年のカーボンニュートラル実現を目指す。

 脱炭素社会に向けて自動車メーカーの電動化の動きは加速している。ボルボは30年までに販売する全モデルをEVにする計画を公表しているほか、ゼネラルモーターズ(GM)は35年までに販売する乗用車すべてをEVにする。ダイムラーも39年に全販売モデルをEVにする計画を公表している。

 しかし、日系自動車メーカーで、販売する全車両をEV、FCVにする計画を公表したのは今回のホンダが初めてだ。日系自動車メーカーはHVに力を入れてきたこともあって、EVでは出遅れている。なかでも、世界初の量産HVを市販し、HV関連技術では他社をリードするトヨタにとって、EV一辺倒の情勢に対する焦りと危機感は強い。EV市場の拡大は、HVに強いトヨタの優位性がなくなることを意味するからだ。

 また、EVはHVなどの内燃機関を搭載するクルマと比べて、使用する部品点数が大幅に減る。EVシフトが本格化すると、トヨタグループが抱えている多くのサプライヤーの仕事も減り、結束を維持できなくなる。EVは内燃機関よりも参入の障壁が低く、テスラのような新規参入によって競争激化を招く。すでに中国では多くのEVのスタートアップが誕生している。

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