リニア、ルート変更で「静岡抜き」も現実味…地元の要望無視したJR東海の傲慢がアダの画像1
静岡県庁本館(「Wikipedia」より)

 静岡県知事選(6月3日告示、20日投開票)は現職の川勝平太氏が4選を果たしそうだ。自民党静岡県連は、参院議員を務めた岩井茂樹氏を擁立。ただ、もともと知名度も高くない岩井氏は秘書に暴行を加えるなどのパワハラ疑惑が報じられ、逆風が吹く。JR東海リニア中央新幹線の工事着工に反対する川勝氏の勝利が見込まれており、リニアの2027年の開業は絶望的となりそうだ。

水量減り農業に影響も

 今回の知事選の最大の争点は、まったく進んでいないリニア新幹線静岡工区のあり方だ。川勝氏はトンネルの掘削を行えば、大井川の水量が減って農業に支障が生じると主張。トンネルを貫く南アルプスの生態系に悪影響が出るとも指摘しており、工事を認めていない。

 JR東海は工事に伴い発生する湧き水をポンプで戻す案を提案。これは10〜20年かけて流出した量と同じ分を戻すもの。川勝氏はあくまでも「全量戻し」にこだわる。JR東海が示す案は時間がかかり、全量戻しに相当せず、利水者が不利益を被る可能性があるとして、批判を強める。

 静岡工区を挟む山梨、長野両県では、工事がすでに始まっている。しかし、同工区をめぐっては、トンネル掘削の前提となるヤード整備などの準備工事にも入れず、膠着状態が続いている。

自民党会派は「ヤクザ」「ゴロツキ」

 リニア以外でも、川勝氏は周辺との軋轢を生むことが多々ある。例えば、文化拠点の整備計画に反対する県議会自民党会派を念頭に「ヤクザの集団」「ゴロツキ」と罵ったほか、リニア新幹線の駅設置をめぐる三重県知事の説明に関して「嘘つきは泥棒の始まり」と非難するなど、暴言エピソードは枚挙にいとまがない。JR東海関係者は「川勝氏の言動は滅茶苦茶なため、県幹部も面従腹背だ」と指摘する。

 本来協力し、地域活性化に取り組まなくてはいけない静岡市長とも折り合いが悪い。田辺信宏市長は5月14日の記者会見で、川勝氏について「いろいろな組織を攻撃、批判してばかりの方とは連携がなかなかできない」と非難している。

自民、擁立作業が難航

 自民党静岡県連は、リニア問題も含め県政の刷新を図ろうと画策するも人選は難航。川勝氏は「中高年の女性にも人気が高い」(大手メディア関係者)強敵のため、接触した多くの候補者が尻込みしたものとみられる。

 最終的に岩井氏の擁立が確定したのは、投開票まで2カ月あまりとなった4月に入ってからのこと。県連は前回の17年の知事選で独自候補を立てられなかった。

 岩井氏は自民党水産部会長や国土交通副大臣など要職を歴任。川勝氏は岩井氏が直前まで国交副大臣を務めていたことを引き合いに、「リニアを推進する側」とレッテルを貼る。

 岩井氏も水の問題は重視している。両者の最大の違いは、川勝氏が頭ごなしにJR東海を非難するのに対し、岩井氏は対話や調整を重視する点だ。

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