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日大・不正資金還流、関与疑惑の医療法人理事長と安倍元首相の“ただならぬ関係”

文=編集部
日大・不正資金還流、関与疑惑の医療法人理事長と安倍元首相のただならぬ関係の画像1
日本大学公式サイトより

 自民党総裁選が終わり、岸田文雄内閣も発足し“一休み状態”の永田町で、にわかに東京地検特捜部の捜査へ注目が集まっている。時事通信は6日、記事『日大理事に数千万円還流か 東京地検、詰めの捜査―病院建設めぐる背任事件』を配信。東京都板橋区の日本大学医学部付属板橋病院の建設工事をめぐる背任事件で、「同大から約2億円が流出した後、数千万円が最終的に同大理事(64)に還流した疑いがあることが6日、関係者への取材で分かった」と報じた。記事によると東京地検特捜部が、理事本人から事情を聴くなど詰めの捜査をしているという。

 そもそも、どのような事件なのか。

 メディア各社の報道によると、日大は同病院の建て替え工事の一部を、都内の設計事務所に20数億円で発注した。その発注業務を担った日大の関連会社「日本大学事業部」(世田谷区)の取締役を兼務する日大理事が主導し、同設計事務所を介し、大阪市の医療法人グループが関連する医療コンサルタント会社に2億円超を流出させた疑いが持たれていた。特捜部は9月8日、日本大学事業部などに家宅捜索を実施した。

 今回の報道によれば2億円のうち数千万円が、この理事に還流していたことになる。一見、日大内部の背任事件に見えるが、立憲民主党関係者は次のように話す。

「日本オリンピック委員会(JOC)元副会長でもあった田中英寿理事長を含め、安倍晋三元首相の“友人”が事件への関与を疑われていることに注目が集まっています。つまり“本当に単なるマンモス大学の背任事件なのか”との憶測が、永田町にあらためて広がっているのです」

コンサルは安倍元首相の友人が経営する医療法人グループの傘下

 日本大学事業部の取締役を兼務していた人物とは井ノ口忠男氏だ。井ノ口氏に関しては日刊ゲンダイデジタル(講談社)が9月13日、『日大背任事件のキーマンはこの男 “ドンの懐刀”井ノ口忠男理事の過去と正体』と題する記事で同氏と「日大のドン」こと田中理事長とのただならぬ関係を報じている。

 一方、資金還流に一役買った東京都内の医療コンサルは医療法人錦秀会グループの関連会社だった。一連の地検特捜部の捜査に関して、同グループに見解を聞いたところ「取材はお受けしていない」と答えた。

 事件が発覚した9月時点で同グループの理事長だったのは籔本雅巳氏だ。関西の病院・介護施設経営の雄である同氏は安倍元首相の“ゴルフ友達”として広く知られている。

 自民党関係者は「だから? 仮に籔本さんが事件に関与していたとしても、日大さんの内部問題で、安倍さんはまったく関係ないでしょ。総理ほどの広い交友関係を持てば、なかにはなんらかの不祥事に巻き込まれる人だっている」と憤る。

 一方で前述の立憲民主党関係者は次のように語る。

「そもそも総裁選の前に一連の疑惑が発覚し、総裁選後に特捜部が詰めの捜査を本格させるというのは、少しタイミング的にできすぎているような気がします。政界再編のスケジュールと関係がないのでしょうか。

 少なくとも一連の報道は検察からのリーク以外、考えられません。籔本さんは安倍さんだけではなく岸信夫防衛相とも面識があります。そして、籔本さんと日大の田中理事長はともに日大OBであり、公益財団法人・日本相撲連盟の副会長を一緒に務めるほどの関係です。いずれにせよ、安倍さんの周囲には疑惑の人物が多すぎますよね。この事件が政界に波及する事案なのかどうか注視しています」

 国内有数のマンモス大学をめぐる醜聞はどのような決着を見せるのか。特捜部の捜査の成り行きが注目される。

(文=編集部)

 

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