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大崎孝徳「なにが正しいのやら?」

カシオ「G-SHOCK」、復活サービスの狙い…ブランド価値継続へ秀逸な取組

文=大﨑孝徳/神奈川大学経営学部国際経営学科教授
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G-SHOCK(「Wikipedia」より)

 カシオ計算機の「G-SHOCK」は1983年の発売以降、世界中で愛され、累計出荷個数が1億3000万個を超すロングセラー商品となっている。そんなG-SHOCKに関して最近、興味深い2つの記事を目にした。以下、G-SHOCKに対して、ブランド価値の継続という視点より検討したい。

 マーケティングにおいて、ブランド研究はもっとも活発に取り組まれているテーマのひとつといえる。しかしながら、多くの人が興味を持つであろう”新規ブランドの構築”というテーマは、一般化が極めて難しいからか、あまり見かけない印象である。

 一方、”既存ブランドの価値の評価やマネジメント”といったテーマに関しては、多くの研究が見られる。たとえば、ブランドのマネジメントに関して、「企業ブランドと製品ブランドを、いかに組み合わせて管理すべきか」という問題は、長きにわたり議論が繰り返されている。

 伝統的に日本企業は企業ブランドを、米国企業は製品ブランドを重視する傾向が強いといわれる。トヨタ自動車ならば「トヨタ」という社名を、GMの場合は「キャデラック」や「シボレー」といった製品(群)名を重視するということである。キャデラックやシボレーにおいては、クルマのエンブレムすら独自のものとなっている。

 もちろん、こうしたことは傾向にすぎず、トヨタはレクサスを米国市場に投入する際、トヨタという企業ブランドをまったくアピールしていない。もっとも、米国市場では大衆車というイメージが強いトヨタブランドという背景のもと、高級車ブランドとしてレクサスを立ち上げたため、当然ではあるが。

 また、既存ブランドの活用にかかわるブランド・エクステンション(ブランド拡張)というテーマも、長きにわたり議論が続いている。たとえば、キリンビールの「一番搾り」というブランドは、「黒生」「糖質ゼロ」など7つの商品にまで拡張されている。強い既存ブランドの拡張は消費者に大きな安心感をもたらし、さらに新規ブランドの構築よりも低コストで済む場合が多い。

 一方、何かひとつの商品に問題が生じた場合、そうした影響はブランド全体に及ぶなど、デメリットも存在する。

 また、仮に強いブランドを構築できたとしても、競争が激化する現代の市場において、そうしたブランド価値をいかに維持していくのか、ということも興味深いテーマである。たとえば、一時期大きな話題となったルイ・ヴィトンと村上隆氏とのコラボは、売上の拡大よりもブランドを陳腐化させないという狙いのほうが強かったように思われる。

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