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講談社・アマゾン直接取引でも取次会社が消えない理由…出版社・書店に多大な恩恵

取材・文=A4studio
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講談社
講談社(「Wikipedia」より)

 9月、出版大手の講談社とネット通販大手アマゾンが取次会社を介さない直接取引を開始し、出版業界に大きな衝撃が走っている。

 現状は講談社の扱う書籍のなかでも「講談社現代新書」「ブルーバックス」「講談社学術文庫」の3シリーズのみだが、効果を見極めたうえで今後はほかの書籍や新刊にも拡大する可能性が示唆されており、出版業界の転換期と見る向きも少なくない。

 従来の日本の出版業界では、取次会社が出版社と書店の中間に入り、問屋として本や雑誌を配送するという体制が主流であった。だが直接取引では、アマゾンが取次会社を経由せずに出版社から直接在庫を仕入れるため、消費者に商品が届くまでの日数短縮につながるとのことだ。

 この一件を受けて、ネット上では「出版社が取次を必要としなくなった」「本を購入する際に早く届いたり安くなったりするのか気になる」という声が多くあがっている。そこで今回は、日本の出版流通業界に詳しい流通科学大学商学部マーケティング学科教授・秦洋二氏に、講談社とアマゾンの直接取引導入による今後の出版業界への影響について聞いた。

世界的に見ると取次頼りの日本が特殊だった

 実は、アマゾンは講談社と直接取引する以前から、取次会社と取引する一方で、すでに数多くの出版社と直接取引を行っていた。ただ、出版業界内の大手中の大手である講談社がアマゾンと手を結んだということは、異例の事態として受け止められているのだ。

 直接取引によって出版業界がどう変化していくかが気になるところだが、まずは秦氏に日本の出版業界における取次会社の役割について解説してもらう。

「まず、取次会社は各出版社から新刊の情報を一覧としてまとめ、各書店へと提供します。次に各書店が入荷したい本を決定した後、取次会社が出版社から本を仕入れ、各書店まで運搬します。この一連の流れが主な取次の仕事です。現在、日本には大小合わせると出版社が約3000社、書店が9000店超存在しています。そして、発売される出版物は書籍だけでも年間7万点近くにも及ぶため、取次がいないと出版業界は機能しないでしょう」(秦氏)

 では、そんな取次会社にはどのような種類があるのか。

「現在、日本出版販売(日販)とトーハンという取次会社の大手2社が、ほとんどの出版社、書店と取引を行っているのが現状です。戦前に、政府が出版物の流通統制を目的として、全国にある取次会社をひとつにまとめて日本出版配給株式会社(日配)という国策会社が設立されました。ですが戦後、GHQが主導した経済民主化の動きにより日配は解体の対象となり、現在の日販、トーハンへと分裂する結果となったのです」

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