「NTTデータ 死のチャート描いてる」
日本国内のTwitter上では9日午後1時過ぎ、そんな言葉が乱れ飛んでいた。同日午前から、Twitter上では「NTTデータ」がトレンド入りしていたのだが……。
騒動の発端は同社とNTTが「午後に記者会見をする」と発表したことだった。思惑からNTTデータ株は一時17%超高の2885円に急進した。しかし、当該会見が開催されるや否や急速に上げ幅を縮小し、一時4%超安となった。
Twitter上などでは両社の会見予定を受け、NTTによるNTTデータのTOB(株式公開買付)の憶測が高まっていた。国内証券会社関係者は「ネット上ではNTTドコモの事例が引き合いに出されていた。NTTデータの完全子会社化への思惑が出て買われたようだ」と分析した。
“TOB”思惑も会見内容は「海外事業の統合」
しかし、実際の会見で発表されたのは海外事業の統合だった。NTTデータグループの海外事業にNTTの完全子会社「NTT, Inc.」の海外事業を統合し、競争力の強化を図るという話だった。一方、NTTは同日、NTTデータの株式を追加取得すると発表した。6000万株、1000億円を上限に市場で買い付け、NTTデータとの連携を強化する方針も示した。
会見では今回の会見開催のタイミングについて、NTTの澤田純社長に以下のような質問も出た。
「今回の会見をマーケットがどう受け止めたかという部分について、澤田社長にお伺いしたい。前場でご存知の通り、今回の会見の予定があるということが知れ渡った時点で、NTTデータ株が非常に急騰した。この会見中、実際の発表を受けて株価はマイナスに転じています。まさに『思惑で買って事実で売った』という典型的なパターンになっています。
なんでこの場中にこういった発表をなさったのか。またマーケットについて、NTT持ち株がNTTデータを買ってくれるんじゃないかという思惑があるかと思われますが」(発言ママ、以下同)
澤田社長は次のように回答した。
「思惑があるかもしれないのは、私側ではなくて投資家の皆さんなので、どういう考え方なのかを代弁できないです。今回、期待感としてTOBがあるんじゃないかと思われたということですが、逆説的にTOBみたいに大きなものを場中に発表することはあり得ないと思います。そういう意味では、そこについてはお答えできないですね」
そのうえで、澤田社長は苦笑いしながら以下のように付け加えた。
「(会見の開催)時間について意識はしておりません。(市場が)終わってからやるより、時間中にやるということだと、TOBというイメージもなかったんじゃないかと考えていました。(投資家と株価の)反応が早くて、まぁ、落ちる反応も早かったですけれど、NTT持ち株側としては、名前が出てお金を使う、ドコモの時もそうだったのですが、TOB期待があったというふうには見受けられるんですけれど、なんともそこは……」
どうやら今回の一件が“思惑買い”の教訓になったのは間違いないようだ。
(文=Business Journal編集部)