
今話題の「チューナーレステレビ」とは、基本的には通常の地上波テレビ放送を視聴することはできないが、ネット経由で動画や映画、ゲームを視聴できるテレビのこと。例えば「YouTube」の動画や、「Netflix」や「Disney+」といった動画配信サービスのコンテンツが観られれば、地上波放送が観られなくてもかまわないという層に受けている。
ブームのきっかけをつくったのは、2021年にドン・キホーテが発売した格安PB(プライベートブランド)チューナーレステレビだ。6000台がわずか1カ月で完売し、今年の2月と6月に追加生産をしたが2月分はすでに完売しているという。
そこで今回は、AV機器業界に詳しい評論家の折原一也氏に、チューナーレステレビブームの背景や、話題の商品4つについて解説してもらった。
実は地上波テレビの番組を視聴することもできる
そもそもチューナーレステレビとは、どういう仕組みのテレビなのか。
「現在、一般的なテレビは、映像を表示するパネルやテレビ放送を受信するチューナー、近年ではネット接続機能などがついたオールインワン的な製品を指します。それに対してチューナーレステレビというのは、受信したテレビの電波を画面やスピーカーに流すための装置であるテレビチューナーを外したものになります。
ちなみに、統計データを取るための分類上では、テレビ放送を受信するチューナーが付いている機種のことを『テレビ』としており、チューナーレステレビは『モニター』に分類される製品です。ですが、今回は俗称であるチューナーレステレビという呼称をそのまま使って話を進めましょう」(折原氏)
ひと昔前まではテレビといえばテレビ放送を見るものというイメージも強かったが、チューナーレステレビが受け入れられるようになったことには、時代背景もあるという。
「NetflixやAmazon Prime Videoといったサブスク映像配信、そしてYouTube人気の高まりで、テレビ放送が絶対的な存在でなくなったことが大きな要因ですね。2020年以来のコロナ禍で在宅時間が伸びて、テレビでネット動画を見る人が増えたことも後押ししていますね」(同)
また、本末転倒な話のようではあるが、実はチューナーレステレビでもテレビ番組を視聴することは可能だという。
「民放公式テレビ配信サービスである『TVer』には、チューナーレステレビで用いられるAndroidTV向けのアプリがあるので、見逃し番組であればチューナーありのテレビと同じように番組を楽しむことができます。『TVer』は民放キー局の多くのテレビ番組を視聴できるサービスですが、実は一部のNHK番組も提供されています。Netflixなどのように月額料を払う必要もなく無料で視聴できるので、チューナーレステレビで地上波テレビの番組が観たいという方には、うってつけのサービスですね」(同)