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日向坂46・影山優佳、なぜ引っ張りだこ?サッカーオタクなだけじゃない裏事情

文=上杉純也/フリーライター
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日向坂46・影山優佳、なぜ引っ張りだこ?
「kageyamayuka_official」より

 ベスト4が出揃い、いよいよ大詰めを迎えた2022 FIFA ワールドカップ。その関連番組に連日のように出演し日本代表と大会を盛り上げた1人が、人気女性アイドルグループ・日向坂46の影山優佳だ。

 そのあまりの博識ぶりに「ガチすぎる」「アイドルの域を超えている」など大反響を呼び、早朝深夜を問わず番組に出ずっぱり。その大忙しの状況にツイッター上で「#影山寝ろ」がトレンド入りしたことは記憶に新しいところだろう。

 彼女のサッカー愛は、グループ加入当時からファンの間では有名で、グループの冠番組で特技のヒールリフトを披露したり、『期待していない自分』という楽曲のミュージックビデオでもリフティングを披露したシーンがあるほどだ。アイドルデビュー直後からガチなサッカー愛を炸裂させている影山優佳の“深すぎるサッカー愛”を改めて検証してみよう。

“影山伝説”のそもそもの始まりは、2020年7月18日に放送されたサッカー専門番組『FOOT×BRAIN』(テレビ東京系)への出演である。登場時に披露し、今やお馴染みとなった「あなたのハートにゲーゲンプレス(注)」というキャッチコピーが、知る人ぞ知るサッカー用語だったこともあり、番組メインMCを務める俳優・勝村政信の顔色が瞬時に変わったのが、まず印象的だった。

(注)ゲーゲンプレス……かつてドイツブンデスリーガ・ドルトムントの黄金期を築き、現在、イングランドプレミアリーグ・リヴァプールの指揮を執る名将ユルゲン・クロップが考案したカウンター戦術のこと。

“本当にガチなコが来た”と悟ったワケだ。趣味を聞かれたときも“ホワイトボードを活用したフォーメーション及び戦術の分析”を行い、かなりマニアックな回答だったが、さらに凄かったのが、注目選手を聞かれたときである。

 なんと当時イングランドプレミアリーグのウルヴァーハンプトン・ワンダラーズFC(愛称:ウルヴス)に所属していた(現在はエヴァートンFCにレンタル移籍中)DFの「コナー・コーディ」と答えたのだ。その理由も「選手からの信頼も厚くて、正確なロングフィードが得意。ウルヴスはサイドからの攻めが多いので、そういったプレーができる選手はすごく大事ですし、長年チームの要になっています」と説明。そもそも、なぜその選手を知っているのかと聞きたくなるほどで、共演した元日本代表の北澤豪が「顔が出てこない」と呆気にとられたほどだ。

 さらに、「注目しているサッカークラブは?」との質問の答えにも度肝を抜かれた。この場面でイングランドプレミアリーグのトッテナム・ホットスパーFCを挙げれば、「なかなかやるな」となるようなところだが、彼女は次元が違った。同じプレミアリーグでもリーズ・ユナイテッドFCを挙げたのである。同チームはこの年、03-04年シーズン以来のプレミアリーグ復帰を果たしたものの、マイナーなチームであることは否めない。

 そのチームになぜ注目したのかというと、監督のマルセロ・ビエルサの存在だった。ビエルサ監督は相当な戦術マニアとして有名で、戦術分析を趣味としている影山にとってはたまらなかったワケだ。

 加えて「サッカーのことをもっと深く知ることができたら、もっと楽しめるんじゃないか」との思いから、中学2年生にしてサッカー4級審判員の資格を取得したことを告白。おまけに、自身の公式ブログで「影山優佳のWE LOVE Jリーグ」と題したJリーグ応援企画を不定期で連載していることも紹介されている。

 この連載は、Jリーグ各クラブを順に紹介する内容で、チーム名の由来に始まり、地域の特性、スタジアム、戦術、注目選手、そして独自のワンポイントコメント“影山の一言”など、さまざまな項目を設けてJリーグ各クラブを考察、その魅力を掘り下げていた。その観察眼は、J1のみならず、普段あまり陽の目を見ることがないJ3まで全58クラブに及んでおり、出演者全員が驚いていた。

 番組出演時に、ヨーロッパリーグのマイナーチームに所属するDFのプレースタイルをスラスラ語り、国内・海外リーグどちらにも異常なほど詳しく、戦術や選手の特性に加え、Jリーグ振興策に至るまで、多角的にトークを展開したのである。

 番組史上最年少ゲストとは思えない博識ぶりに、番組メインMCの勝村政信が思わず「来週からこの席、代わってるかもしれない」と恐れおののいたほど。あまりに大きなインパクトを残したこともあり、のちに同番組に“SPECIAL ANALYST”の肩書で不定期出演することになったのであった。

 このときの反響は非常に大きく、直後からサッカー系メディアからのオファーが殺到。さまざまなテレビ、雑誌、ウェブ媒体におけるサッカー関連企画に登場し、特にサッカー系YouTubeチャンネルで大暴れすることになった。そこでも圧倒的な成績を残している点は見逃せない。

 影山はDAZN JapanのYouTubeチャンネルの『内田篤人のフットボールタイム』によく出ているが、その再生回数からも反響がよくわかる。たとえば、同チャンネルで内田がドイツブンデスリーガのFCバイエルン・ミュンヘンの凄さを語った回は再生がかなり多く、約6.6万回再生に上った。これはサッカーファンならみんな観たいだろうと思える内容で納得の数字なのだが、それでも彼女が出た回はその比にならないのだ。

 影山が出演し、イングランドプレミアリーグのサウサンプトンFCについて語ったとき、約15万回もの数字を記録したのである。反響や影響力がどれだけあるかがよくわかる。制作サイドがこの成績を見逃すハズがなく、今日の大躍進の一端に繋がっている。

 そして何より、彼女が出た番組は盛り上がる。その理由は、ポジショニングのうまさにある。有名なMCや解説者がいるときは一歩後ろに引いて「ああ、そうですよね」などと相槌を打つ程度にとどめるなど、リアクションが絶妙なのだ。かと思えば、自分の戦術論を聞かれた際や、自分が主役で出ていい場面ではガンガン前に出る。要は中途半端に出て行かないワケだ。媚びを売っている感じもまったくないし、かなり豊富な知識を持ちながら、スタンドプレイに走ることもない。

 たとえば、Jリーグ公式チャンネルで昨年1月20日に公開された動画である。ガンバ大阪などで活躍した元Jリーガーで、当時Jリーグの特任理事だった播戸竜二(現・日本サッカー協会のアスリート委員)とJリーグにまつわるクイズ対決をした際のことだ。3問先取の企画で2問たて続けに先取したこともあり、企画を盛り上げるためか、あえて播戸に花を持たせるような節が見受けられた。しかも、播戸が正解したら「さすが特任理事」と褒める一方で、自分が正解したら「イエーイ!」と全力で喜ぶなど如才がない。年長者を立てながら、企画そのものを成立させる、実にクレバーなふるまいだった。

 頭の回転が早いから、喋っていることもすごくわかりやすいし、中立の立場でいろんな選手やチームの良さを引き出して話すこともできる。加えて、サッカーに関する豊富な知識を適切にわかりやすくアウトプットする抜群のコメント力の持ち主なのである。

 また、司会の役割ができる点もポイントが高い。事実、今回のテレ朝系列やABEMAのサッカー関連番組で、進行役のアナウンサーが不在の際には、ほぼ彼女が番組の仕切りを任されていたのである。

 ここで今回のW杯関連での彼女の名場面を挙げてみよう。日本代表初戦の対ドイツ戦でのスタメン予想で10人的中させたほか、3戦目の対スペイン戦の結果予想を「2-1で日本勝利」と完全的中させている。ちなみに、この試合の注目選手についても、決勝点をアシストした三苫薫の名を挙げていた。さらに、惜しくもPK戦で惜敗した決勝トーナメント1回戦の対クロアチア戦の予想スコアも「1-1でPK戦にもつれ込む」と予想。「PK4-3で日本勝利」との予想こそ外れたが、その慧眼ぶりには恐れいるしかない。

 そんななかでベスト場面を挙げるなら、迷わず2戦目の対コスタリカ戦に尽きる。この試合のスタメンを、影山は1トップのFWで上田綺世が起用されると予想。これも見事的中させたのだが、実は上田のスタメンを予想したのは出演者のなかで彼女だけだった。番組で共演した2人の解説者はおろか、どの番組でも上田の起用を予想した人はいなかったのである。それでも、あくまで謙虚な姿勢を貫く姿がまた印象的であった。

 サッカー大好きの女性のなかには、特定のチームを応援していて詳しい範囲が限定されている人やサッカー部のマネージャー感を出している人などがいるが、影山はそのどちらでもない。サッカー大好きな女の子が“オタク化”した感じなのである。彼女が熱烈なサッカーファンから支持されているのは、専門性が高く、振り切っているオタク感がたまらないからに違いない。

 サッカーに対して真面目で勉強熱心なだけでなく、空気も読めるため、番組で共演する年長者から可愛がられている点もポイントだ。特に内田篤人には早くから気に入られ、共演していくうちに「影山さん」→「影ちゃん」→「影」と、親しく呼ばれるようになっている。男性女性問わず、これまでのどの芸能人よりも深いサッカー愛を感じさせる影山優佳の快進撃は、W杯終了後も止まることはないだろう。

上杉純也/フリーライター

上杉純也/フリーライター

出版社、編集プロダクション勤務を経てフリーのライター兼編集者に。ドラマ、女優、アイドル、映画、バラエティ、野球など主にエンタメ系のジャンルを手掛ける。主な著作に『テレビドラマの仕事人たち』(KKベストセラーズ・共著)、『甲子園あるある(春のセンバツ編)』(オークラ出版)、『甲子園決勝 因縁の名勝負20』(トランスワールドジャパン株式会社)などがある。

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