亀田製菓が製造・販売する幼児向け菓子「ハイハイン」から制限値を超える重金属「カドミウム」が検出されたとして、台湾の当局は輸入業者に対して返品・破棄を命じた。亀田製菓はBusiness Journalの取材に対して
「事実でございます。台湾では乳幼児用穀物ベースの補助食品および乳幼児副食品のカドミウム基準値が0.04ppm以下と定められており、これを超過しました」
「当社では日本の国内基準に沿って製造していますので、安心してお召し上がりいただいて問題ございません」
と説明する。台湾の法律で定められた乳幼児用穀物ベースの補助食品および乳幼児副食品中のカドミウムの制限値は0.040ppmだが、ハイハインからは0.046ppmの混入が認められたという。幼児が摂取すると健康被害が生じる可能性がある量なのか。また、加工食品にカドミウムが混入する原因としては、どのようなことが考えられるのか。
「ハッピーターン」「亀田の柿の種」「ソフトサラダ」「揚一番」「ぽたぽた焼」などで知られる亀田製菓は、新潟市に本社を置く大手米菓メーカー。国内米菓市場では約30%のシェアを持つ最大手であり、2023年度の連結売上高は955億円、営業利益は45億円、従業員数は4040名(24年3月31日現在)に上る大企業。米国・中国・ベトナム・タイ・カンボジア・インドなどアジアにも進出しており、全社売上高に占める海外事業の比率は1~2割ほどとなっている。中期経営目標として26年度の連結売上高1150億円、営業利益75億円を設定しており、その達成に向けて改革「KAMEDA3.0」を推進中。
菓子メーカーのイメージが強いが、菓子以外の食品にも力を入れている。低たんぱく質米飯「ゆめごはん」、なめらかで食べやすいユニバーサルデザインフード「ふっくらおかゆ」、市場が拡大しているプラントベースフード、特定原材料等28品目不使用の米粉パン、長期保存食なども手掛けている。
食品大手として品質への取り組みにも力を入れている。国内工場は国際的な食品安全規格「FSSC 22000」を取得しており、工場では従業員は専用の作業服、帽子、マスクを正しく着用し、入室の際には手洗いを徹底。エアシャワー、自動シャッターを活用して、二重三重の異物混入対策を施している。生産ラインでは、原材料への異物混入などを見極める色彩選別機、できあがった製品に対して製造工程での異物混入がないかを検査するX線検査装置などを用いて安全を担保。使用する原材料は「原材料規格保証書」を取得しているほか、使用する原材料中の放射性物質についてもチェックを実施。放射性物質測定器(NaI シンチレーションサーベイメーター・ガンマー線 スペクトロメーター)によって、各工場で使用する国産原料米のサンプリング検査を継続的に実施し、定期的に外部検査機関に依頼し、第三者による分析も実施している。
日本における基準値は満たしている
そんな亀田製菓の商品で、台湾で制限値を超えるカドミウムが検出されるという事案が発生した。食品の安全をめぐる事故としては、昨年、小林製薬が販売する「紅麹(べにこうじ)」の成分が含まれた健康食品を摂取して死亡者が出るなどの健康被害問題が起きた件が記憶に新しいが、国内出荷分の「ハイハイン」でもカドミニウムが混入している可能性はあるのか。亀田製菓は次のように説明する。
「カドミウムは、鉱物中や土壌中など、天然に広く存在する重金属です。お米等、作物を栽培している間に、水田などの土壌に含まれているカドミウムが吸収・蓄積されるため、米菓の原料であるお米にもカドミウムは含まれます。日本においては、厚労省/農水省により玄米及び精米の基準値は0.4ppm以下と定められています。また、日本ベビーフード協議会では、基準値は0.2ppm以下とされています。ハイハインで使用している原料米の分析は、2024年に実施した結果は、上記基準を満たしています。当社では日本の国内基準に沿って製造していますので、安心してお召し上がりいただいて問題ございません」
(文=Business Journal編集部)