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業務スーパー、菓子に金属異物が混入、口内の負傷者も…自主回収の多さ際立つ

文=Business Journal編集部
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業務スーパー

 消費者庁は12日、格安スーパーチェーン「業務スーパー」が販売している「イタリアンビスケット(ヘーゼルナッツ&ココア)」の一部商品において金属異物の混入が認められ、自主回収が行われていると公表し、サイト上で注意喚起を促している。出荷総数は2万2569個で、すでに口の中を負傷した人が発生している。業務スーパーではこの1年間で計21件の自主回収が発生しており、大手小売りチェーンとしては数が多いとの指摘もあるが、背景には何があるのか。業界関係者の見解を交えて追ってみたい。

 2000年に兵庫県三木市で1号店がオープンした業務スーパーは、22年には国内1000店舗を達成。積極的にメーカーを買収して生産能力を拡大させ、急成長を遂げてきた。多くの店舗をフランチャイズ(FC)形式で運営し、業務スーパーは商品とノウハウの提供に注力することで低コスト経営を実現。運営元の神戸物産の業績も好調で、2023年10月期連結決算の売上高は前期比13.5%増の4615億円、営業利益は同10.4%増の307億円、経常利益は同6.7%減の300億円。毎月新規出店を重ねており、今年7月時点の店舗数は1071に上る。

 業務スーパーの特徴としては「食の製販一体体制」を掲げ、自社で企画・製造するオリジナル商品を拡充させている点が挙げられる。原材料の生産・加工・販売を自社で行い、国内に25拠点の食品加工工場を構え、国内自社アイテム数は約370に上る(23年11月現在)。加えて、世界に350を超える協力工場を持ち、「世界の本物を直輸入」をコンセプトに掲げており、海外直輸入アイテム数は1680に上る。輸入商社や問屋を介さずに工場から直接買い付けることでコストダウンを実現している。

1年間で計21件の自主回収

 その業務スーパーで異物混入が起きた。7月5日から各店舗に出荷された「イタリアンビスケット(ヘーゼルナッツ&ココア)」の一部商品において金属異物の混入が認められ、神戸物産は12日、自主回収を発表。店舗で回収を行うほか、同社お客様相談室へ送料着払いで送付するよう呼び掛けている。消費者庁も「リコール情報サイト」上に注意喚起の告知を行っており、歯の負傷者も出ている。

 業務スーパーでは昨年10月から今年9月までの1年間で、以下のとおり計21件の自主回収が行われている。

(24年9月)
・イタリアンビスケット(ヘーゼルナッツ&ココア)
 (一部商品に金属異物の混入が確認)
・シーザーサラダドレッシング
 (一部商品に風味異常が確認)

(24年6月)
 ・オーツクランチ(ココア味)
  (プラスチック片が混入)
 ・ホットク
  (卵のアレルゲン表示がない、別商品が誤って混入の可能性)
 ・チーズホットク
  (アレルゲン表示にない落花生が混入の恐れ)
 ・鶏屋さんのチキンカツ
  (ビニール片が混入)

(同4月)
 ・マイカップDEヌードル ビーフ・カレー・チキン
  (一括表示に記載がないアレルゲンが検出)

(同3月)
 ・トロサーモン(ハラス切り落とし)
  (BHT<ジブチルヒドロキシトルエン>の残留が確認)
 ・金の鶏だし1kg・227g
  (アレルゲン表示が欠落)

(同2月)
 ・グリーンアスパラ(ホール)
  (基準値を超える残留農薬の検出が確認)

(同1月)
 ・紅生姜鶏から揚げ
  (一括表示に記載のない着色料が検出)

(23年12月)
 ・ふんわりミニロールケーキ ブルーベリー風味
  (基準値以上の添加物が検出)
 ・白身魚でつくったザクザク網春巻き」
  (表示に記載のないアレルゲン検出)
 ・ショコトーネ
  (安息香酸が検出)

(同11月)
 ・ひとくちがんも
  (表示に記載のないアレルゲン検出)
 ・本格四川火鍋(麻辣ベース)
  (一部商品でカビが検出)
 ・ハニーバターポップコーン・キャラメルポップコーン
  (一部商品で使用できない添加物が検出)

(同10月)
 ・銀の胡麻ドレッシング ※他社製品
  (一部商品が膨張)
 ・いちごグミ・ぶどうグミ・オレンジグミ
  (一括表示に記載のない添加物が検出)
 ・ソフトワッフル ヘーゼルナッツチョコクリーム 
  (一括表示に記載のない添加物が検出)
 ・グリーンアスパラ(ホール)
  (一部商品で基準値を超える残留農薬が検出)

 昨年の1年間では計29件の自主回収が発生している。

協力工場の管理、どこまで

 小売チェーン関係者はいう。

「海外の工場から直接買い付けているとのことだが、協力工場といっても自社運営ではなく、定期的な監査などは行っているかもしれないが、製造・衛生の管理基準・マニュアルは各工場の運営会社のものとなり、業務スーパーが細かいところまで管理しているわけではない。加えて海外の工場となれば、国によって法令や当局による取り締まりの厳しさには差があるし、工場によっては衛生・安全管理が杜撰なところもあるかもしれない。地理的に日本から離れていれば、自ずと監視の目も行き届きにくくなる。

 輸入商社が介在することで、商社でも仕入先の選別や品質チェック・管理が行われるが、商社が介さないことで、これらについて全責任を業務スーパーが負うことになる。コストダウンの面ではメリットが生じる一方、業務スーパーがそのあたりをどこまで徹底しているのかが気になる」

 また、流通ジャーナリストの西川立一氏は23年10月3日付当サイト記事で次のように指摘していた。

「他の大手流通チェーンに比べて、商品回収の頻度が多いように思います。業務スーパーのオリジナル商品はアジアやヨーロッパをはじめとする海外の工場・メーカーからの直輸入が多く、なかなか監視の目が行き届きにくいという面はあるでしょう。発売前にどこまで現物を検査しているのかはわかりませんが、すべての商品の中身を検査することは不可能なので、検査が不完全になっている可能性もあるでしょう。

 業務スーパーは安さを売りにする小売チェーンですが、食品の取り扱いにおいて品質の安全性確保は最優先すべきであり、多少のコストがかかっても取り組むべき事柄です。今の消費者は『安さ+安心・安全』を求めており、『安さ』だけでは消費者の信頼・支持を得続けることはできません」(流通ジャーナリストの西川立一氏/23年10月3日付当サイト記事より)

(文=Business Journal編集部)

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