スープ専門チェーン「Soup Stock Tokyo(スープストックトーキョー)」が一部店舗で赤ちゃん連れの客に無料提供していた離乳食(後期)を全店に拡大したことに批判が起きている件について、26日に公式サイトで声明を発表。「特定のお客さまだけを優遇するような考えはありません」としつつ、子連れの客に対して「どうぞ気兼ねなくご利用ください」と呼びかけ、無料サービス継続の意思をはっきりと表明した。
スープストックトーキョーは「お客様のライフステージが変わり、ご家族やお子様と一緒にご来店いただく方も増えてきた中で、Soup Stock Tokyoとしてお子様の成長を一緒に見届けることができればという思い」から、一部店舗で赤ちゃん(月齢9~11ヶ月目安)向けの後期離乳食を無料で提供していたが、これを25日から全店に拡大すると発表。さらに、もう少し成長した子ども向けにキッズセット(630円)をメニューに追加した。
本来であれば手放しで称賛されるべき取り組みに思えたが、これに対してSNSなどで女性ユーザーらが「隣で子どもに騒がれたら落ち着かない」「子どもが苦手なので行きたくなくなる」「女性がひとりで入りやすい店だったのに雰囲気が変わってしまう」などと反発し、大きな騒ぎに。スープストックトーキョーは駅の一角などに小規模の店舗を構えているケースが多く、女性の一人客が静かに食べているイメージが強いため、広くない店内に子連れ客が増えることを懸念している人が多いようだ。
さらに「独身女性の居場所を奪わないでほしい」「独り身の肩身がまた狭くなる」といった声も相次ぎ、独身女性と子持ち女性の“分断”が浮き彫りになる事態にまで発展していた。
この騒動に対して、スープストックトーキョーは26日に発表した声明で「小さなお子様連れという理由で外食店での飲食をためらう方の助けになればと始めたものです」と無料サービス拡大の意図を改めて説明。一部店舗での実施が好評だったので全国に拡大することになったとし、「実際にお越しいただいた際には、狭い店内ではサービスが行き届かずご不便をおかけすることもあるかもしれませんが、心を込めてお迎えさせていただきます。どうぞ気兼ねなくご利用ください」と子連れ客に呼びかけた。
その一方で「私たちは、お客さまを年齢や性別、お子さま連れかどうかで区別し、ある特定のお客さまだけを優遇するような考えはありません」と、反発の声を意識したとみられる一文も。同社の企業理念は「世の中の体温をあげる」だとし、「私たちのスープやサービスに価値を見出していただける全ての方々の体温をあげていきたいと心から願っています。皆さまからのご意見を受け止めつつ、これからも変わらずひとりひとりのお客さまを大切にしていきます」と強調した。
最後に「世の中の環境の変化が激しい中、社会が抱える課題もさまざまです。それらを私たちが全て解決できるとは思っていません。でも、小さくてもできることもあるとまじめに思っています。ひとつひとつですが、これからも取り組みを続けていきます」とし、離乳食の無料サービスをはじめとした社会的課題の解決に向けての取り組みを継続すると宣言した。
この声明について、SNS上では「炎上への完璧な対応」「ぶれない理念があって毅然としていてカッコイイ」「スープストックのコメントが素晴らしすぎてファンになった」と称賛の声が続出。ただ、その一方で「理念どうこうより、店内がせまいのでスープを運ぶ時にベビーカーとぶつかったりしたら怖いのよ」「時間ない時でもサクッと食べられるのがよかったけど、子連れは滞在時間長めだろうから席の確保が難しくなりそう」といった不安の声も根強くあり、賛否両論の状況が続いている。
いずれにしても、今回の騒動は企業による「子育て支援」の在り方を改めて考えるきっかけになったといえそうだ。