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途中で注文を諦める客も…松屋のタッチパネル式券売機、UI悪すぎで操作が困難と話題

文=Business Journal編集部、協力=重盛高雄/フードアナリスト
途中で注文を諦める客も…松屋のタッチパネル式券売機、UI悪すぎで操作が困難と話題の画像1
松屋のタッチパネル式券売機(撮影=重盛高雄)

 大手牛丼チェーン「松屋」の注文用のタッチパネル式券売機のUI(ユーザーインターフェース)が以前より悪化して使いにくいとして、一部で話題となっている。SNS上では「これまでも牛丼1杯と半熟玉子頼むだけで16回のボタン操作が必要だった」「この前、お年寄りの方諦めて帰ってた」といった声もみられるが、果たして実際にそれほど使い勝手は悪いのか。専門家に検証してもらった――。

 多くの外食チェーンが注文用にタッチパネル式券売機を設置するなか、松屋も同様の方式を採用。店内の入り口付近に設置された券売機で注文したいメニューを入力し精算すると食券が発行され、客はそれを持って席に着く。料理が出来上がると、受け取りカウンター上部にある画面上で食券に書かれた番号が出来上がりのステータスになり、客は自らカウンターに行き、食券と引き換えに料理を受け取るという仕組みだ。ちなみに松屋の公式アプリ「松屋モバイルオーダー」を使って来店前にスマホで注文と支払い決済を行い、表示されたQRコードを券売機にかざして食券を発行させることも可能だ。

 セルフオーダー式の松屋と対照的なのが吉野家だ。吉野家には券売機はなく、同店で見慣れたコの字型のカウンターかテーブル席に座ると店員がお茶を運んできてくれ、口頭で店員に注文する方式の店舗が多い。松屋と同じく来店前にスマホからウェブで注文することも可能だが、現時点ではテイクアウト専用となっている。ちなみに吉野家では、従来とは異なり客が席に着く前にオーダーと精算を行い、自分で料理をカウンターに取りに行く方式の店舗も増えつつあるが、この新型店舗にもタッチパネル式券売機はなく、入り口横の店員がいるレジで注文・支払いを済ませ、渡された呼び出しブザーを持って席に着くという流れになっている。

 その松屋と吉野家のハイブリッド型といえるのが「すき家」だ。入店するとそのまま席に着き、卓上に置かれたタブレットから注文をするが、店員に口頭で注文することも可能。また、すき家も来店前にスマホアプリから注文・支払いが可能となっている。

実際の使用イメージ

 大手牛丼チェーン3社のなかでタッチパネル式券売機を導入しているのは松屋のみとなるが、その操作方法をみてみよう。大きめの縦長のタッチパネルのトップページに「店内」「お弁当」という2つのボタンが表示され、「店内」を押下すると、「カテゴリーをお選び下さい」という案内文の下に「期間限定おすすめメニュー」「牛めし」「丼」「カレー」「サイド・ドリンク」などのボタンが表示され、押下すると各カテゴリーのメニューが表示。画面には6個ずつメニューが表示され、そのなかに希望のメニューがない場合は右下の「次へ」を押していく。希望するメニューのボタンを押下すると、画面の遷移に従って「並盛」などのサイズや「生野菜生玉子セット」などのセットを選択していき、右下の「カートに追加」を押下。別のカテゴリーのメニューを選びたい場合は、上部に表示されている「カレー」「丼」「ハンバーグ定食」などの各カテゴリーを示すボタンを押下するかたちになる。

 そして注文したいメニューをすべて入力したら、右下の「注文する」を押して、「dポイントカードをお持ちですか?」という画面に遷移し、「いいえ」を押すと、「現金」「交通系IC」「QRコード」「電子マネー」など支払い方法を選ぶ画面に移り、支払いが処理が完了すると券売機右下の口に食券が出てくるという流れだ。ちなみに店舗によっては、操作方法が違う横長式のタッチパネルの券売機が設置されているところもある。

 この縦長の券売機の操作をめぐって、SNS上では以下のとおりUIが悪くて使いにくいという声が続出しているのだ。

<牛めし並盛に生野菜ポテト付きを注文したいだけなのに やっと操作おぼえた頃には変わるから生野菜ポテト付きの注文は最近もう諦めてる>

<実際に操作するとまぁクソUIな上に エミュ上で動かしてるのかなってレベルでタッチのレスポンス悪くてまともに操作できない>

<メニューの一覧が出来ず、総量が計り知れないってまずいですよね>

<「次へ」とか「→」みたいなページを移動させるボタンのすぐそばに「全取り消し」や「初めからやり直す」ボタンがあるの凄すぎる>

<選択してタブめくって考えて、また選択して、決済するのにまた選択して、押すたびに表示待ち。変なボタンおしたらすべて最初に戻って最初から…>

<こんなデカイ画面があんのに何をどうすれば無駄だらけのものが……>

 IT企業のSEはいう。

「たとえば牛めしのメニューを選んでいるときに他のカテゴリーのメニューのページに行こうとすると、どのボタンから行けばよいのかわかりにくい。最初のカテゴリー選択ページの上部には『カテゴリー選択後もタブで変更できます』と表示されものの、視線はすぐに中央部の大きな各カテゴリーを示すボタンに行くので、その文言に気が付く人のほうが少ないのでは。あるカテゴリーのメニューをみている際、画面上部に他のカテゴリー名が書かれたボタンが表示されているものの、そこにあること自体に気が付きにくいのに加え、すべてのカテゴリーが表示されているわけではなくユーザーが自分で横にスクロールさせて表示させる方式なので、見たいカテゴリーが表示されていないと『行きたいカテゴリーが見つからない』となってしまう恐れがある。

 また、丼もののサイズを選んだ後に遷移する画面で『ご一緒にいかがですか』という表示の下に『生野菜生玉子セット』など追加のセットメニューが並び、セットメニューを注文しない場合は何も選択せずに右下の『カートに追加』を押す必要があるが、セットメニューは追加しなくてもよいということに気が付かず何かを選んでしまう人もいるかもしれない。

 このほか、各カテゴリーごとのメニュー表示画面で、右下の『次へ>』ボタンのすぐ下に十分なスペースがなく『全取消』ボタンがあるのも、押し間違って入力した情報をすべてクリアしてしまうという事態を誘発する懸念がある」

 実際の使用感はどうなのか。フードアナリストの重盛高雄氏に解説してもらった。

「支払い」と「メニュー選択」に難あり

 都内の複数の店舗を訪問してみたところ、3種類の券売機があった。どの機 種も多言語対応・QRコード決済対応しているが、使いにくいのは 大きな縦長 式の液晶画面を持つ機種。こち らは2種類あり、ひとつは非接触決済専用型で、もうひとつは現金払い併用型となっ ている。各店舗を回り、実際に来店客がどこで操作に手間取っているのかを調査したところ、「支払い」のところで困っている人が多かった。次の多かったのは「メニュー選択」。お客にとって使いやすい画面遷移ではなく、利用者の利便性を正しく理解していないのではと感じる。ユニバーサルデザインとはほど遠い印象を受ける。

 例えば、定食メニューを選択しサイズを決めた後にも、再度サイズ選択の画面が表示され、もう一度ボタンを押さないと選択が確定しない。また、ひとつの画面に盛り込まれている情報が多すぎてわかりにくい。使い慣れた人でも、面倒さを感じるだろう。画面上に表示させる情報を簡便にして、「店内→定食→サイズ・アレンジ→サイドの有無→決済」といったように順に表示されるようにすると、見やすく、わかりやすくなるのではないだろうか。決済手段の分類も券売機に掲示されているものの、画面上には「QRコード」などと簡略に表示されている。カード支払いもタッチ決済ではなく、カードを差し込まないと使えない仕様だ。

 ちなみに、お金を入れる場所やタッチする場所が画面上に点滅して表示される仕様となっており、この案内表示は利用者に優しいと感じた。

 今回、実際に店舗で操作して感じたのは、誰にとって、どの世代にとって使いやすい仕様となっているのか伝わってこないということだ。各券売機の使い勝手を一言でいえば、「かなり惜しい」に尽きる。

(文=Business Journal編集部、協力=重盛高雄/フードアナリスト)

重盛高雄/フードアナリスト

重盛高雄/フードアナリスト

ファストフード、外食産業に詳しいフードアナリストとしてニュース番組、雑誌等に出演多数。2017年はThe Economist誌(英国)に日本のファストフードに詳しいフードアナリストとしてインタビューを受ける。他にもBSスカパー「モノクラーベ」にて王将対決、牛丼チェーン対決にご意見番として出演。最近はファストフードを中心にwebニュース媒体において経営・ビジネスの観点からコラムの執筆を行っている。
フードアナリスト・プロモーション株式会社 重盛高雄プロフィール

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