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30周年のJリーグ、完全にオワコン化…プロ野球と対照的、W杯後も人気回復せず

文=Business Journal編集部
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30周年のJリーグ、完全にオワコン化
「Getty Images」より

 ワールドベースボールクラシック(WBC)の熱狂から2カ月が過ぎようとしているが、今なおその余波は続いている。これを受けてテレビ局は、空前の野球人気に沸いているという。TBS社員がこう明かす。

「ウチに限らずですが、テレビ朝日さんも含め“WBCバブル”のような状況が今なお続いています。視聴率の好調はもちろんですが、ワイドショーや情報番組でもWBC関連のニュースが非常に刺さります。なかでも、大谷翔平とヌートバーの反応の高さは別格で、彼らのニュースを作れば視聴者の反応がいいという状況は、今も変わりません。これはサッカーのワールドカップ(W杯)後にはなかった現象でもありますね」

 同じくテレビ朝日の社員も、次のようにWBCバブルを解説する。

「W杯とWBCという2つの大きなスポーツイベントは、テレビ局的にはどちらも大成功でした。ですが、どちらの影響が大きかったかといえば、やはりWBCです。ドラマチックな勝ち上がりも含めて、やはり日本人のメンタル的に野球というコンテンツは合っているということでしょう。

 実際に他局の話ではありますが、WBC後のプロ野球の視聴率は好調で、観客動員数もコロナ前よりも多いほどです。しかし、ことJリーグに関していうならば、ニュース番組などで取り上げる機会は激減しています。サッカーに力を入れているウチですらそうですから、他局の状況は推し量れるというものです」

 W杯後のJリーグに目を向けると、その盛り上がりがリーグに還元されたという話はほとんど耳にしない。だが、必ずしもネガティブな話題ばかりではない。「DAZN」の放映権料は194億円にも上り、その恩恵もあってJリーグの収益額は320億円にも達する。もちろん、J3までで60クラブというクラブ数の差はあれど、プロ野球(NPB)の50億円と比べると、数字上は十分健闘しているとはいえるだろう。しかし、その内情に目を向けると、現実は厳しい。スポーツメディアの編集者が、ため息混じりにこう話す。

「DAZN頼みになっている、というのが率直な感想です。メディア的な視点を加えるなら、Jリーグ関連の配信記事は、とにかくアクセス数が伸びません。時折アクセス数を稼ぐものもありますが、それは概ね浦和レッズのサポーターやサッカー協会の金銭事情という、どちらかというと不祥事よりのネガティブなものです。

 各社、以前はJリーグのマッチレポートも作っていましたが、まったく読まれないので、今ではほとんど記事の配信を行うことはなくなりました。W杯の時期とWBCの時期の記事のアクセスに大きな開きがあったことも、顕著な傾向です。正直、大谷翔平の“こたつ記事”ひとつで、Jリーグ関連の記事の何百倍も読まれるので、わざわざJリーグの記事を作る意味を見いだせないという現状があります」

 Jリーグ人気低迷の影響は、それに関わるメディアの人間にも及んでいるという。

「国内サッカーの人気が落ちたことで、それで食べていたメディアの人間の転職も目立ちます。ですが、サッカーメディアに属していた人間はほかの原稿が書けないし、使える人材が少ないというジレンマがメディア側にもあります。フリーライターも、Jリーグでは食えないから取材の頻度が落ちて、結果的に記事のクオリティが落ちるという悪循環に陥っています」(同)

選手のレベルは過去最高水準、だが人気につながらず

 Jリーグはもはや、欧州リーグへの移籍のための下部組織化しつつある、と前出の編集者は言う。だが、選手の質という視点で考えるなら、現在のJリーグは過去最高水準にあるとも続ける。

「Jクラブの育成の質は確実に上がっており、欧州でも通用するレベルの選手がどんどん出てきています。例えば、細谷真大、藤田譲瑠チマ、バングーナガンデ佳史扶、中島大嘉といった、フィジカル面でもヨーロッパで引けを取らない選手がJリーグから出てきたのは、今までになかった傾向です。

 それが観客動員や人気に繋がらないというもどかしさを感じているJ関係者が多いんです。特にパリ五輪を目指す若い世代は非常にレベルが上がっており、彼らへ取材すると『すぐにでも欧州へ行きたい』と、そもそも国内に留まるという意識はありません。今や代表人気もJリーグに還元されない時代ですし、構造的に露出を増やすなどの対策を考えないと、Jリーグが一部のコア層に向けたコンテンツとなっていく流れは変えられないでしょう」(同)

 世間の注目を集める大きな国際大会のあと、国内リーグにも大きな還元があった時代は終わりつつある。今年30周年を迎えたJリーグも、大きな岐路に立たされていることは間違いなさそうだ。
(文=Business Journal編集部)

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