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ドラクエ12制作発表から2年、詳細情報なしの理由…従来から大変更、来年発売か

文=A4studio、協力=岩崎啓眞/ゲームプロデューサー、ゲームライター
ドラクエ12制作発表から2年、詳細情報なしの理由…従来から大変更、来年発売かの画像1
「ドラゴンクエストXI」の公式サイトより

 ゲーム制作会社のスクウェア・エニックスは2021年5月27日、大人気RPGシリーズ「ドラゴンクエスト」が誕生35周年を迎えたことを記念して、待望の新作である「ドラゴンクエストXII 選ばれし運命の炎」(以下、ドラクエ12)の制作を発表していた。それから1年後の昨年5月27日には、シリーズの生みの親であるゲームクリエイター・堀井雄二氏がビデオメッセージを公開。そこで、ドラクエ12の開発を進めていることを改めて伝え、ファンを大いに沸かせた。

 だが、最初の発表から2年以上がすぎた現時点でも、いまだに内容や発売日などの詳細が明らかにされておらず、ファンはやきもきとした気持ちを抱えているようだ。そこで今回は、ゲームプロデューサーでありゲームライターの岩崎啓眞氏に、ドラクエ12の内容や発売時期について考察してもらった。

ファミコンの常識を覆した伝説のゲーム「ドラクエ1」の凄さとは

 まずは、ドラクエシリーズの人気を改めて振り返っておこう。

「ドラクエは1986年に第1作が発売されて以来、大ヒットを繰り返してきた日本を代表するファンタジーRPGです。プレイヤーが主人公になり、世界を脅かす魔王を倒すために壮大な冒険に出る重厚なストーリーは、多くのファンを魅了してきました。シリーズの全世界出荷本数とダウンロード販売本数の総計は、2020年3月時点で8200万本を超えています。

 1作目の『ドラゴンクエスト』が衝撃的だったのは、それまでPCゲームが主戦場だったRPGを、ファミコンに持ち込んだことです。というのも、RPGというのはリソース負荷が非常にかかるゲームだったため、当時はPCよりスペックの劣るファミコンではできないものだと思われていたからです。ですが、エニックス(スクウェアと合併前の社名)はそれを成し遂げたのです」(岩崎氏)

 だが、世間的には1作目には戸惑いもあったのだとか。

「それまでのファミコンというのは、アクションゲームをはじめとした直感的なゲームプレイ体験が重視されていたので、ゆっくりと物語に没入するRPGというスタイルを、多くのファミコンユーザーは経験したことがなかったのです。当時のゲーム雑誌は、そのゲームプレイ性に驚愕したと同時に、『ファミコンユーザー向けにどう宣伝したらいいものか』と悩んだものです。そうした影響もあって、当時は社会現象になるほどの勢いはありませんでした。ですが、1987年発売の2作目『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』は、1作目の口コミなども影響し、大ヒットを記録。以降は人気シリーズとして定着し、現在に至ります」(同)

まったく新しいドラクエを生み出すために開発が長期化している?

 そんな日本を代表するRPGシリーズの最新作であるドラクエ12だが、発表から2年以上経った現時点まで、ほとんど情報が出てきていない。

「それを紐解くには、これまでのドラクエシリーズがどういった作品だったのかを振り返る必要があるでしょう。ドラクエはターン制コマンドバトルや『主人公が喋らない』といった特徴を伝統として、踏襲し続けてきたシリーズです。ただ、そういった伝統は古参ファンを離さない『ドラクエらしさ』というメリットになっていると同時に、よくも悪くも変化がゆっくりなシリーズになってしまっているというデメリットも生み出していました」(同)

 そのメリットとデメリットの要素が、最新作の開発が長期化している一因ということなのだろうか。

「2017年発売の前作『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』が、ファンからするとシリーズの集大成といえる出来でした。ですから次作のドラクエ12は、これまでとガラリと異なるアプローチをした作品にしようとしている可能性が非常に高いのです。

 実際、シリーズの生みの親である堀井さんは、2021年にスクウェア・エニックスの公式YouTubeチャンネルの特番配信で、『コマンドバトルシステムをやめる』『試作した新たなシステムのテストを行っている』『大人向けのドラクエになる』といった趣旨の発言をしています。ここから推測できるのは、従来のシリーズとはガラリと変えたゲームシステムの構築に、非常に時間がかかってしまっているということでしょう」(同)

 では制作が難航している理由はなんなのか。

「かみ砕いて説明しますと、ドラクエのような大きなゲームは、まず1つの町、1つのフィールドというような実際にプレイできるゲームの一部分を作って、これでいけるかを確認する、いわば試作品のようなものを作ります。そして、それを基本としてさまざまな変化をステージやエリアごとに加えてフィールドを量産していき、全体的なゲームを構築していくのです。そして堀井さんは、2022年にこのフィールドの量産体制に入ったという趣旨の発言をしていました。

 それならば実際のゲーム画面を公開しても良さそうなものですが、現時点でもそういった画像や情報が出てきていないことから考えると、このベース作りに問題があり、やり直しなどをしている過程で想定以上に制作に時間がかかってしまっているのかもしれません。また、制作時期がコロナ禍に被ってしまったことも遅延の一因として考えられます。ゲームというのはデザイナー同士がアイデアを出し合いながら細かな部分を詰めていくものなので、リモート作業では横の連携が非常に取りづらいはずですからね」(同)

2024年発売説、専門家が考察する「ドラクエ12」の発売時期

 ファンはドラクエ12に対してどのような期待を抱いているのか。

「シリーズのファンは前作を超える新たなドラクエ像をどう打ち出してくるのかに、期待と不安を抱いています。そしてこれは、はからずもドラクエ1作目が登場したときに近い状況のように感じます。だからこそ堀井さんや制作スタッフのみなさんには、焦らずこだわり抜いて、またファンをいい意味で驚かせるような作品を世に送り出してもらいたいものですね」(同)

 最後に、ドラクエ12がいつ頃の発売になるのかについて予想してもらった。

「現時点(6月21日)で進捗情報が発表されていないので、あくまでも私の推測になりますが、発売は来年になるのではと見ています。理由としては、任天堂のゲームハード機は2017年に登場した『Nintendo Switch』で止まっており、来年ぐらいには任天堂から新ハードが発売されるのではと噂がありますので、ドラクエ12はその新ハードの発売に合わせてくる可能性があると考えているからです」(同)

 全国のファンが待ち望んでいるドラクエ12。このように、どういったゲームになるのか、発売日はいつになるのかと、いろいろ考察しながら公式発表を待ち続けるのも、ドラクエシリーズの醍醐味なのかもしれない。

(文=A4studio、協力=岩崎啓眞/ゲームプロデューサー、ゲームライター)

岩崎啓眞/ゲームプロデューサー、ゲームライター

岩崎啓眞/ゲームプロデューサー、ゲームライター

「天外魔境Ⅱ 卍MARU」「エメラルドドラゴン」「リンダキューブ」など、まずまずの名作ゲームを手がけてきたゲームプロデューサー。1994年からは「電撃PCエンジン」、「電撃PlayStation」、「電撃王」といった人気ゲーム雑誌でライターを務めてきた。
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Twitter:@snapwith

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