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オクトパストラベラーⅡ、HD-2Dで論争…「スクエニが3Dから逃げてる」の誤解

文=Business Journal編集部、協力=松井ムネタツ/ゲームライター
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スクウェア・エニックス「オクトパストラベラーⅡ」のHPより

 ゲームタイトル「オクトパストラベラーⅡ」(プラットフォーム:Nintendo Switch、PlayStation 4、PlayStation 5、Steam)が2月24日に発売された。2018年にスクウェア・エニックスから発売され全世界出荷本数(ダウンロード版含む)300万本超えを記録した同シリーズの新作タイトルとあって、早くも話題を呼んでいる。その一方、前作に引き続き採用された「HD-2D」をめぐって賛否両論の論争も起きているようだ――。

 アクワイアと、『ブレイブリーデフォルト』シリーズを手掛けたスクウェア・エニックスの浅野智也チームが開発を担当した「オクトパストラベラーⅡ」は、前作と同様に主人公となる旅人たち8人が登場するRPG。バトルシステムとして「ブレイク&ブースト」を採用している点は前作と同様であり、今作では昼と夜でフィールドコマンドが切り替わり違う行動を実行できるのが特徴だ。また、西木康智氏が手掛けた音楽も重要な要素となっている。

 そして、前作に続き採用されたHD-2Dも大きな特徴といえる。現在のメジャーなゲームタイトルでは主流となっている高画質でリアルな動きを実現する3DCGに対し、HD-2Dは「ドット絵とレンダリング技法を融合させたグラフィック」「ピクセルアートと3DCGのハイブリット」などと説明されることが多く、明確な定義はなく、2Dと3Dのいいとこ取りをしたような内容になっている。

 任天堂のファミコンやスーパーファミコンで採用されていたドット絵の懐かしさを残しつつ、最新の3DCG技術を融合させたもので、スクウェア・エニックスは1作目の『オクトパストラベラー』で初めて採用し、『LIVE A LIVE』のリメイク版にも採用。今月には、同社の公式YouTubeチャンネル上で「オクトパストラベラー HD-2Dの誕生と進化【#スクエニの創りかた】」という動画を公開し、同社プロデューサーの髙橋真志氏とアクワイアのディレクターの宮内継介氏が開発の過程などについて解説するなど、HD-2Dの活用に積極的な姿勢を見せていることでも知られている。

 ちなみに『オクトパストラベラー』のアートを担当したアーティスト/テクニカルアーティストは2018年に開催されたEpic Japan主催のカンファレンス「UNREAL FEST EAST 2018」内で、

「スーパーファミコン後期のドット絵最盛期の表現その後が、3DCGではなく『ドット絵』として進化していったなら……というIFのコンセプトのもと発案された」(18年10月23日付「gamesindustry.biz」記事より)

と語っている。

賛否両論

 そんな「オクトパストラベラーⅡ」のHD-2Dをめぐって議論が沸き上がっている。

<いや本当にHD2D舐めてました、今の時代にドットなんて思ってすみませんでした ドットだからこそ良きゲームになる>(原文ママ、以下同)

<HD2Dは進化してて画面の情報量が高くなったし、本当に非の打ち所がない神ゲーになった>

<HD2D凄いなぁ 動画よりやはりゲームやると違うし綺麗だわ。戦闘はレベルあるしまた変わった感じの戦闘で面白いしキャラも喋る>

<俺が見たかったドットRPGの進化先がここにある気がする そのくらいHD2Dに感動する>

<HD2DってSwitchかスマホでしか触った事なかったですが、そこから更に進化しての4Kでのオクトパストラベラー2はもはや芸術ですね>

などと絶賛する声が多い一方、以下のように疑問を呈する声も一部にはみられる。

<「HD2Dの美麗なグラフィック」と謳ってるが、それよりもキャラのファミコン時代のような荒いドット絵が気になる なんで今さらこんなカクカクのドット絵?今の2D基準の滑らかな絵がいい キャラ区別つかんし衣装も不明瞭>

<エフェクトかけまくって誤魔化してるだけだよねこれ>

<子供騙し。美麗3Dから逃げてるようにしか見えない>

<普通に3Dのグラフィックで勝負してくれ>

<敵が理不尽に速いとかボス級がだんだん理不尽にスピードアップするとか、キャラがファミコンドット絵とか残念なとこも多い HD2Dも言うほどすごくない>

<組織として自画自賛するのはまだええけど開発者自身でそれやってるのはキツいわ>

HD-2Dにも3DCGにも技術的には難しさがある

 元「ファミ通Xbox360」編集長のゲームライター、松井ムネタツ氏はいう。

「HD-2Dを一言で説明すると、昔のスーパーファミコンのグラフィックの雰囲気を最新技術を利用してグレードアップさせたもの、とでもいうのでしょうか。画面上のキャラクターは2Dのドット、背景は3Dと使い分けをしたりと、3Dを使っている点は変わりない。HD-2Dでも、遠くのものをぼやかして見せたり光の表現をより豊かに見せており、HD-2Dにも3DCGにも技術的にはそれぞれに難しさがあり、どちらのほうが高度で優れているという話ではない。現時点で大々的にHD-2Dを取り入れているのはスクエニだけなので、その意味ではちょっと特殊な技術とはいえるかもしれない」

 では、スクエニがHD-2Dに積極的に取り組む意図は何なのか。

「スーパーファミコン時代には多くのRPGタイトルが世に出され、改めてそれらを今プレイすると『こんなにショボかったっけ?』『もっと派手でスゴくなかったっけ?』と感じるユーザも少なくない。よく『思い出補正』という言われ方をするが、当時のドット絵になじみのあるゲームユーザたちの思い出をいい意味で美化させるグラフィックを実現したいのかもしれない。スクエニは昨年リリースした『トライアングルストラテジー』や現在開発中の『ドラゴンクエスト3』リメイク版でもHD-2Dを採用しているが、同社としては『HD-2Dといえばスクエニ』というブランドの確立も意識しているのではないか」(同)

 一部では「スクエニが3Dで勝負することから逃げているのはないか」「手抜きをしている」という声もあるが――。

「3DよりHD-2Dのほうが開発がラクで開発コストも低いということはないだろう。今のHD-2D技術のレベルに至るまでには、スクエニ内で相当な試行錯誤があったことは間違いない」(同)

 スクエニのHD-2Dがどのようにゲーム界に新たな風を吹かせるかに注目したい。

(文=Business Journal編集部、協力=松井ムネタツ/ゲームライター)

松井ムネタツ/ゲームライター:取材協力

松井ムネタツ/ゲームライター:取材協力

1986年よりゲームメディアで編集・ライター業務を開始。徳間書店(テクノポリス、スーパーファミコンマガジン)、新声社(ゲーメスト、ゲームナビ)、KADOKAWA(ファミ通ドリームキャスト、ファミ通Xbox、ファミ通Xbox 360)を経て、現在はフリー。
松井ムネタツ
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Twitter:@MUNETATSU

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