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松井ムネタツ「たかがゲーム、されどゲーム」

『ソニック』の生みの親がつくった『バランワンダーワールド』は完全な新機軸なゲームだ

文=松井ムネタツ/ゲーム系編集・ライター
『ソニック』の生みの親がつくった『バランワンダーワールド』は完全な新機軸なゲームだの画像1
スクウェア・エニックス『バランワンダーワールド』

バランワンダーワールド』はスクウェア・エニックスによる完全新作のアクションゲームだ。このゲームをつくったクリエイターは、『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』の生みの親である中裕司氏。そんなことを聞かされたら、40代以上のおじさんたち(とくにセガマニア)は注目せざるを得ない。『ソニック』シリーズのようなハイスピードなゲームなのか、それとも『NiGHTS into dreams…』のような空をビューンと飛び回るゲームなのか。

 遊んでみたらこれまでのどれとも違う、まったくの新機軸なアクションゲームだった。そのあたりを中心に語っていきたい。

ゲーム中は移動と1ボタンだけ

 本作の特徴のひとつは、操作ボタンが少ない点だ。左スティック(もしくは方向キー)の移動とボタン1つだけ。ゲーム中の基本操作はこれだけである。

 昨今のアクションゲームはボタンをいっぱい使っていろんな動作をするものが多い。ジャンプする、ダッシュする、攻撃する、強力な攻撃をする、防御する……などなどだ。たとえばNintendo SwitchならA、B、X、Yボタン、さらにはLボタンやZLボタンもフル活用する。

 ところが本作は移動操作+1ボタン。その1ボタンは……ジャンプ? 攻撃? ダッシュ? じつはその全部なのである。からくりは衣装チェンジだ。何度も「1ボタンだけ」と書いているが、正確にいうとLボタン・Rボタンも使う。これで本作の特徴である衣装のチェンジを行うのだ。

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▲これは「エラスティプラント」という衣装。ボタン長押しで一定時間、体が伸びて、高いところにあるアイテムを取ることができる

 衣装ごとに「ボタンを押すとジャンプ」「ボタンを押すと攻撃」というようにアクションが設定されており、その衣装を切り替えながら(つまりアクションを切り替えながら)ステージをクリアしていくのが本作の楽しさとなっている。その衣装の数、なんと80以上! ジャンプしながら攻撃する、ブーメランのような飛び道具で攻撃する、水の中を移動できる……などなどだ。どれを使ったらいいかわからなくなることはなく、基本的にはそのステージをクリアするのに必要な衣装は、ステージ内に落ちている。

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▲「ジェリージョルト」は水の中を移動できる。地上でボタンを押すと電気攻撃ジャンプ!

 さらに探索して各種アイテムを手に入れようと思うと、別のステージでゲットした衣装(アクション)が必要な場合もある。ここが考えどころであり、ゲームに深みを与えている部分だったりもする。「いろいろな衣装を試しながらステージを探索するの楽しいぞ! ヤッホーイ!」と前向きに楽しめる人もいれば、そこに面倒臭さを感じる人もいるようだ。本作を楽しめるかどうかは、この部分にかかっていると言っていい。

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▲遠くに金色のアイテム(バランスタチュー)が見えるけど……どうやってとる?

 そんな探索はせずにどんどん進めていけばいいじゃん……なんて思うかもしれないが、「バランスタチュー」と呼ばれるアイテムを一定数集めることでステージが開放されていく仕組みになっているので、どうしても探索する必要がある。普通にクリアするだけ(マップ上のゴール地点に到着するだけ)ではバランスタチューが十分に集まらない。そこで、クリアしたステージで見落としがなかったか今一度探索する必要があるのだ。

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▲これがバランスタチュー。ゲームを進行させるのに大事なアイテムだ

 これが地味に大変。「ココが怪しい!」という箇所をいろんな衣装を駆使してやっと到達した! と思ったらバランスタチューではないアイテムだった……なんてこともあるので、つい一喜一憂してしまう。バランスタチューを見つけたときの喜びといったら「うっしゃー!」とガッツポーズするほどうれしいんだけどね。

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キャラクターデザインが秀逸!

 本作の新機軸な部分、もうひとつはそのキャラクターデザインだ。中裕司氏とともに『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』のビジュアルをつくった大島直人氏がデザインを担当。この独特かつユニーク、そして可愛らしく唯一無二のキャラクターたちは、大島氏ならではといっていいだろう。

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▲これはオープニングのムービーシーン

 さらにこうしたキャラが、ステージごとに登場するボスキャラを倒した後に用意されているミュージカルシーンで華麗に踊りまくる。本作の見所のひとつなので、ムービーシーンはスキップせずしっかり見てほしい。

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▲ボス退治後のミュージカルシーン

 ムービーシーンといえば、本作にはセリフらしいセリフがほとんどない。ムービーやゲーム中など、ほとんどの場面をビジュアルだけで伝えようとしている。1ボタンで遊べる&なるべく文字やセリフを使わないということで、アクションゲームに不慣れな低年齢層にはちょうどいい仕上がりになっているのかもしれない。

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▲ボス戦の前後にはムービーシーンが挿入される。これがまたクオリティが高い

 ボスキャラもじつに適切な難易度だ。ほどよく頭を悩ませつつ、倒し方さえわかればじつはそんなに難しくない、という仕上がり。個人的にはボス戦が一番楽しかった。これをやりたいがために先に進めているといってもいいだろう。

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▲ボス戦はどれも個性的。その攻略法を見つけていく工程が楽しい

 これまで散々いろんなゲームを遊んできたアラフォーおっさんには、ちょっと物足りないと感じるかもしれない。だがアクション初体験な子供であれば、衣装をチェンジしていろんなアクションがあるだけで、メチャクチャ楽しいのではなかろうか。

 もうウチの娘は成人式を迎える年齢になってしまうのだが、小学生くらいだったら本作を一緒に遊びながら(2人協力プレイも可)あーでもない、こーでもないとキャッキャ言いながら親子の絆を深めることができたかもしれないな。今からでも一緒に遊んでくれないかなあ。父の日に頼んでみるか。

(文=松井ムネタツ/ゲーム系編集・ライター)

(C) 2021 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.

ゲーム名:バランワンダーワールド

メーカー:スクウェア・エニックス

対応機種:PlayStation5 / PlayStation®4 / Nintendo Switch / Xbox Series X|S / Xbox One / PC

ジャンル:ワンダーアクション

発売日:2021年3月26日

価格:希望小売価格7678円[税込]

『バランワンダーワールド』公式サイト

松井ムネタツ/ゲームライター:取材協力

松井ムネタツ/ゲームライター:取材協力

1986年よりゲームメディアで編集・ライター業務を開始。徳間書店(テクノポリス、スーパーファミコンマガジン)、新声社(ゲーメスト、ゲームナビ)、KADOKAWA(ファミ通ドリームキャスト、ファミ通Xbox、ファミ通Xbox 360)を経て、現在はフリー。
松井ムネタツ
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Twitter:@MUNETATSU

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