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「鮨よし田」店主、女性客に激高…高級寿司店、客側の暗黙のルール多数存在

文=Business Journal編集部、協力=江間正和/東京未来倶楽部(株)代表
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「gettyimages」より

 東京・港区にある高級寿司店「南麻布 鮨よし田」を利用した女性客が、店主に殴られそうになったとX(旧Twitter)上にポストし、さまざまな声が寄せられている。女性客が店主にあることをお願いしたところ口論となり、店主が激高したといい、怒った表情で女性客に向かって身を乗り出す店主を他の店員が身を挺して必死で引き留める様子を納めた写真もポストされている。22日付「NEWSポストセブン」記事によれば、同店の店主である吉田安孝氏は憔悴した様子だといい、吉田氏は「ポストセブン」の取材に対し「弁護士さんと話しているので……」と話している。トラブルに発展した原因は定かではないが、高級寿司店では客側にも守ることが求められる不文律のマナーが存在するともいわれており、このポストをめぐってちょっとした議論が起きているようだ。

 一人あたりの費用予算が数万円にも上る高級寿司店。「鮨よし田」も約20品の寿司と小料理からなるコースの料金が4万円以上で、2人連れだと飲み物代やサービス料も含めて10万円を超える。一般庶民にとっては敷居の高い、まさに高級店といえる。

 一般的に高級寿司店では客が守るべき暗黙のルールが存在するとされる。飲食店オーナーはいう。

「寿司は素材が生もので味が極めてデリケートなため、強い匂いがする香水などをつけて行くのはご法度。最小限の料理人で鮮度が命の生の素材を使った料理を扱うため、下ごしらえも含めて料理の段取りは入念に計画されており、基本的にはコースで出される順番どおりに食べる。よって途中で個別の注文をするのは禁物。店によってはコースがいったん全て出された段階で、お好みでネタを注文することができる。もっとも、一度で食べられる量には個人差があるので、コースが始まる前に店主が『シャリは多めにしますか、少なめにしますか?』と聞いてくれる店が多い。出された寿司にいつまでも手を付けないでおくのもダメで、出されたらすぐに食べなければならない。これは、客に提供されたタイミングが『もっとも美味しい状態』となるようにつくられるから」

当日キャンセルは絶対NG

 予約やキャンセルにもルールがあるという。

「座席数が10席以下という店も多く、店側はその日に10人予約が入っていれば10人分の素材を準備する。使用される素材はどれも原価が高いものばかりで、当日キャンセルが生じると店側が多大な損失を被るので絶対にNGなのはいうまでもなく、数日前のキャンセルすらマナー違反。予約する際には、当日キャンセルは料金の100%にあたるキャンセル料が発生することを覚悟すべき。また、お会計は現金払いしか受け付けていない店も少なくない。カード払いだと入金が先になってしまい、個人経営の店は毎日、素材の仕入れがあるのでキャッシュフロー的に厳しいという事情もある」(同)

 このほか、店によっては『よしとされない』行為も存在するという。

「スマートフォンで料理を撮影したり、大声で話したりというのは、店の雰囲気が壊れるということで禁止にしている店もある。撮影する際は一言、店主に断りを入れたほうが無難。また、『美味しい』くらいはよいが、味についていちいち寸評を口にすると店主の気分を害するので避けたほうがよい。これは寿司店に限らず人としての常識の問題だろう。また、稀にだが、お酒を頼まないと店主が不愉快な態度を示す店もある。お酒は原価率が高く店側にとっては利益率が高く、お酒である程度儲けが出ることを想定して料理の料金設定をしている店もあるからだ」(同)

 こうしてみてくると、高い料金を払うのにそこまで「気を使って」まで高級寿司店に行く必要があるのかと疑問を抱く人もいるだろう。別の飲食店店主はいう。

「興味のない人は行かなければよいだけの話で、わざわざ高い金を払って寿司を食べに行く必要はまったくないと割り切れば済む。家でも酢飯に刺身を乗せて『海鮮丼』をつくれば十分に美味しいし、YouTubeで寿司の握り方を教える動画をみれば、費用1000円くらいで自宅で簡単に握り寿司なんてつくれる。もちろん高級寿司店と比べれば味は劣るだろうが、『酢飯の上に刺身』という構造は変わらないので、金額の差と同じくらい味に差があるのかといわれれば、ないでしょう。家でリラックスして自家製の海鮮丼を食べたほうが幸せだと感じる人が、わざわざ数万円も払って窮屈な思いをしてまで高級寿司店に行く必要はまったくない。

 高級寿司店は『客を選ぶ』もの。常連客で成り立っている店も少なくなく、高級寿司店に通うことにステータスや喜びを感じて足しげく通ってくれる常連客が心地よくいられる空間をつくることを店側が優先するのは当たり前」

客側に求められる最低限のマナー

 今回のように飲食店の店主やスタッフがお客に対して怒るというケースでは、どのような理由が考えられるのか。自身でも飲食店経営を手掛ける飲食プロデューサーで東京未来倶楽部(株)代表の江間正和氏はいう。

「飲食店の店主やスタッフがお客さんに対して怒りを覚えるということは結構ありますが、それを表に出すケースは稀だと思います。お店の店主もサービス業に従事していることを自覚しているはずですし、お客さんのなかにはいろいろな人がいることも分かっているはずですので、よほどのことがないと怒りを表に出すことはないでしょう。怒りやイライラをこらえているときは、表情や態度に出やすいので、お客さんに気づかれてしまうこともあります。そういった場合、お客さんが『この店はなんか感じが悪かった』とマイナスなイメージを持ち、口コミサイトやSNSに投稿することもあるでしょう。

 サービス業に従事する人も人間なので、『仕事だから』とすべてを割り切れたり、絶対に怒らないという人はいないでしょう。沸点や琴線は人によって違いますが、感情ある人間ですので仕方ないことです」

 高級寿司店をめぐっては「客が店主から怒られた」「店主が客に不快な表情・態度をみせた」といったケースがしばしばあるという話は聞かれる。

「職人の経験や職場環境、価値観による部分が大きいと思います。『職人さんは気難しい人が多い』という話もよく耳にしますが、私が銀行を脱サラして飲食業界とかかわってきた約25年、300人以上の職人さんとお話していて感じることでもあります。職人は表現者でもあり、自分の価値観を優先したり、喜怒哀楽の激しい人も結構います。サラリーマンと違って、職場が変わっても基本的な仕事内容は同じで自分の技術がウリなので、何かあれば辞めやすいという事情もあるでしょう。いまだにパワハラや労働基準法違反の匂いがする職場さえあります。周りに沸点が低い人や独特の価値観を持っている人も多いので、それに慣れてしまうこともあります。そうはいっても、最初からお店や自分のマイナスになるような態度をとることはないことでしょう。

 個々のお店には『うちはこういうお店です』という自己主張があります。それがお客さんに受け入れられないお店は自然淘汰されていきます。客として店を利用する際には、まずは『郷に入っては郷に従え』でお店のスタイルに乗ってみることをお勧めします。それによって他のお店との違いや、そのお店のオリジナリティを楽しむこともできます。客として注意すべきことは、高級寿司店に限らず『他のお客さんやお店の人たちが不快になるような言葉や態度はとらない』という最低限のマナーを守ることです。具体的には『強い匂いの香水をつけない』『大声で話さない』ということです」(江間氏)

 高級寿司店で高いキャンセル料が設定されている理由は何か。

「料理は当日仕入れて当日仕込むものばかりでなく、数日前から業者に発注して仕入れたり、それを使って仕込んだりすることも多いです。スタッフの人数も予約状況に合わせてシフトを組み、予約で満席なら他のお客さんを入れられません。キャンセルが入れば、キャンセル料によって埋まらなかった席分の売上を補填しなくてはなりません。

 また、キャンセル料の事前提示は安易なキャンセルの防止にもつながります。お客さんのなかには、選択肢確保のためにわざとダブルブッキングしておき、ギリギリになって本命以外の店をキャンセルする人もいます。ひどい時にはキャンセルし忘れたり、したつもりになっていて来店せずにトラブルになるときもあります。これらの防止策として、意図的に高めのキャンセル料を設定・提示することもあります」

(文=Business Journal編集部、協力=江間正和/東京未来倶楽部(株)代表)

江間正和/飲食プロデューサー、東京未来倶楽部(株)代表

江間正和/飲食プロデューサー、東京未来倶楽部(株)代表

東京未来倶楽部(株)代表
5年間大手信託銀行のファンドマネージャーとして勤務後、1998年独立。14年間、夜は直営店(新宿20坪30席)ダイニングバーの現場に出続けながら、昼間、プロデューサー・コンサル業。コンサル先の増加と好業績先の次の展開のため、2012年5月からプロデューサー・コンサル業に専念。
「数字(経営者側)と現場(スタッフ・オペレーション)の融合」「各種アイデア・提案」が得意。また、現場とのメニュー開発等、自称<「実践」料理研究家>。
・著書:『ランチは儲からない、飲み放題は儲かる』『とりあえず生!が儲かるワケ』『ド素人OLが飲食店を開業しちゃダメですか?』

Instagram:@masakazuema

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